2020年の東京で自動走行タクシーを走らせる―。そんな目標を掲げ、ロボットカーのZMPとタクシー会社の日の丸交通が研究会を立ち上げた。他のタクシー会社を巻き込み、政府にも働きかけて実現を目指すというが、その可能性は。

研究会発足を発表した日の丸交通の富田和孝社長(左)とZMPの谷口恒社長

エリア限定で無人タクシーを運用

ZMPと日の丸交通は2017年6月、自動走行タクシーの配車を見据えた配車アプリの開発で協業を開始した。研究会発足は両者の協業が進展した形だ。

研究会発足の発表会に登壇したZMPの谷口社長によると、2020年にはエリア限定で自動走行タクシーの走行を実現するという。エリア外に移動したいと望む利用者には、無人タクシーから有人タクシーへと乗り換える仕組みをアプリを通じて提供する方針だ。

ZMPは配車サービスと車両を提供し、タクシーの走行データを受け取る

自動運転技術とタクシー業界の共存共栄は可能?

自動運転の技術は、ドライバーから雇用を奪う存在としてタクシー業界とは相容れない関係なのかと思いきや、谷口社長は「タクシー会社とZMPは共存共栄」と言い切る。自動走行タクシーは有人タクシーと相互補完の関係にあり、ドライバーが不足していたり、ドライバーの収益性が低かったり、深夜や早朝など、ドライバーの労働環境として厳しい時間帯であったりする部分を、自動走行タクシーで補うことができると谷口社長は語った。

タクシー会社の日の丸交通が自動走行タクシーに期待する背景には、やはりドライバー不足の問題がある。富田社長によれば、タクシー稼働率は下落していく一方であり、ドライバーの高齢化も進んでいるのが現状。こうした変化に手を打つのは今しかないとの考えから、ZMPとの共同プロジェクトに参画したのだという。

タクシー稼働率は下がり続けている

富田社長としては、何も手を打たないままでいて、そのうちライドシェア勢による“白タク”が既成事実化してしまう前に、ドライバーの有無に関わらず、タクシーはタクシー会社で運営するという方向に持っていきたいという考えがあるのだろう。