創業者は高級レストランを経営
シェイクシャックはあくまでも高級レストランではなく、またファストフードでもない業態だ。商品戦略としては、中上位の価格帯を狙っている。
同店の創業者はニューヨークで一流レストランを展開するオーナーだ。2001年にマディソン・スクエア・ガーデンの再生を目的としたアートイベントが開催された際、このオーナーが小さなホットドッグカートを出店したことが、シェイクシャックの原点となっている。つまり創業者は、高級路線でも支持される価格帯の店舗を展開していた人物なのだ。これがシェイクシャックがファストフードにならなかった理由と言える。
シェイクシャックが中上位の価格帯を狙ったファインカジュアルを目指していることは、セットメニューが存在しないことや、コーヒーを提供していないことからもうかがえる。ハンバーガーとシェイク、そしてソーダが、発祥であるニューヨークオリジナルのシェイクシャックスタイルだ。実際、東京国際フォーラム店を訪れた時、コーヒーをオーダーした客に対し、スタッフが近隣のコーヒー店を教える場面を目撃したこともある。
ファストフードとは全く違うビジネスモデル
まだ日本では4店舗のシェイクシャック。このビジネスモデルが一般化するには時間が必要だ。それ故に、今はオリジナルのスタイルを定着させることが優先されているのだろう。
商品自体の単価が安価であるため、セットメニューを客に勧めて単価を上げる必要があるファストフードとシェイクシャックは全く違う存在だ。実際、国際フォーラム店でカウンターをしばらく観察した経験から言うと、1000円以下の購買客はほとんど見られず、1人でも1000円台、2人であれば2000円から時には3000円を上まわるというのが、シェイクシャックの価格帯だった。
単価の高さを支えるのは品質やサービスだ。その1つは作り置きをしない姿勢だろう。例えばシャックバーガーであれば、アツアツのハンバーグにトッピングのチーズが熱で溶けて、しっかりと肉を包み込む。オーダー時に渡される呼び出し装置も面白い試みだ。注文後に座席を確保し、呼び出しに応じて商品を取りに行く。比較的スマートな流れであり、国際フォーラム店で見たところ、来店客も違和感を感じているようには見受けなかった。