――ペガッサ星人やシャドー星人が、仲間にいるという世界観なんですね。こういった宇宙人のキャスティングについては、何か意図があったりしますか。

やはり今年(2017年)は『ウルトラセブン』放送開始50年という記念すべき年ですから、登場する宇宙人も『セブン』から選ぼうということになりました。

――リクと同じジードライザーを持ち、ベリアル融合獣にフュージョンライズする謎の男・伏井出ケイの存在も気になります。ふだんのケイが著名なSF作家で、礼儀正しい人物というのにも興味をひかれます。ケイを演じられる渡辺邦斗さんについての印象はいかがですか。

実は、ケイこそが『ジード』のキーパーソンといえる人物です。この物語は彼がどのような行動をとるかによって展開していくんです。しかし、今の段階では詳しく明かせないのが残念です。渡辺くんは圧倒的な芝居力を備えていて、オーディションでもひときわ輝いていました。これから先、どんな難しい役柄でもうまくこなしてくれるんじゃないかと、演出する僕たちに自信を与えてくれました。

――ウルトラマンジード誕生の背景にはウルトラマンベリアルの存在が色濃くありますが、今後テレビ本編にベリアルが出てくる可能性はあるのでしょうか。

それは現時点では何とも言えません……。ただ、ベリアルが物語の展開に大きな役割を果たしていて、最初から最後までどのように動いているのか、という部分は本作の楽しみどころ。そこが乙一さんの得意とするミステリー要素だと思います。

――音楽についてはいかがですか。川井憲次さんは『ウルトラマンネクサス』(2004年)や『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010年)以来、久々の「ウルトラマン」シリーズ参加ですね。

僕自身、川井さんの音楽のファンですからね。『ジード』の世界観にピッタリな、人々の耳にずっと残るようなテーマ曲をたくさん作っていただきました。リッチな世界観を音で表現できる方ですから、映像との相乗効果でより大きなスケール感を出したかったんです。

――最後に、『ウルトラマンジード』に期待する大勢のファンの方たちに一言、お願いします。

悪のウルトラマンであるベリアルの息子という、大きなものを抱えているリクですが、それにめげないようなポジティブさを持っています。リクが仲間と一緒にどのような成長を遂げていくか、観ている方たちが一緒に観守りたくなるような、成長物語が描かれます。また、本作は『ウルトラマンメビウス』以来、久々となる「M78星雲」直結のウルトラマンです。新たにテレビを観てくださるファンの方はもちろん、昔からずっとウルトラマンを好きでいれくれるファンの方も楽しめるギミックをいろいろ仕掛けながら作っていきますので、ぜひご覧になってください。

(C)円谷プロ

秋田英夫
主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌などで執筆。これまで『宇宙刑事大全』『宇宙刑事年代記』『メタルヒーロー最強戦士列伝』『ウルトラマン画報』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『ゴーグルV・ダイナマン・バイオマン大全』『鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー大百科』をはじめとする書籍・ムック・雑誌などに、関係者インタビューおよび作品研究記事を多数掲載