続いて話題は『シャイダー NEXT GENERATION』に。ハードアクションを目指した『シャリバン』との対比で、『シャイダー』では舟とタミーの軽快なバディアクションを見どころにした明るく楽しい作風が志向されている。塚田氏、中野氏の打ち合わせ段階でも、それほど悩まずに企画が進んだそうで、荒川氏も「シャリバン編で悩みながら書いていたこともあって、シャイダー編は本来の自分のスタイルで、あまり悩むことなく書くことができました」と述懐している。

ちなみに『シャイダー』で荒川氏は「くっつき少女大逆転」を経て「タミー一触即発」というサブタイトルを考案していたという。テレビシリーズの『ギャバン』『シャリバン』では、前述のとおりやたらに長く、ドラマのテンションをいっそう高めるようなサブタイトルが多かったのだが、『シャイダー』では新聞のテレビ欄にきっちり字数を収めるかのように、ほぼ「8文字」で統一されているのが特徴。

たとえば、第11話「アニーにおまかせ」、第13話「金メダル仕掛け人」、第16話「たまげた異星生物」、第26話「魔界ゾーン大当り」といった具合である。最終的に採用されなかった今回のサブタイトルだが、荒川氏がいかに『宇宙刑事』のこだわりポイントを熟知し、並々ならぬ愛情を注いでいることが、サブタイトルへの入魂ぶりからもうかがえるというものだ。

シャイダー=舟とタミーのコンビについて、荒川氏は「最初、坂本監督から言われたのは"あたるとラムちゃんみたいな雰囲気(うる星やつら)"だったんですが、あたるはラムからけっこう逃げたりしますから、それとは違って舟はタミーの攻撃から逃げずに、受け止める強さを意識して書きました」と、舟のたくましさを強調した部分を明かしている。

中野氏は舟役・岩永洋昭とタミー役・川本まゆについて「純朴さのあるまゆちゃんと、チャラい感じの岩永くんとの関係性、デコボコ感が面白かった」と回想し、「まゆちゃんはあのころ10代で、キスシーンに少しとまどっていた」という裏話を披露。荒川氏はそのキスシーンに触れて「あのシーン、監督からは『舟の服が破れる、って書いておいてください』と言われて書いたのは覚えているんだけど、映像を観たら上半身裸になってて、あそこまで破れるとは……」と苦笑していた。

実際に空手の達人である川本のアクションは、3人とも「凄かった」と絶賛。『スペース・スクワッド』と同時製作されたVシネマ『ガールズ・イン・トラブル』でも、川本の激しいバトル・アクションが披露されているので、大いに期待してほしいところである。

『シャリバン』には、初代の伊賀電を演じた渡洋史が出演し、若きシャリバンに「宇宙刑事とは何か」という命題をつきつける重要な役割を担ったが、すでに初代シャイダー=沢村大を演じた円谷浩は故人となっているため、『シャイダー』ではかつて沢村大の相棒として地球で活躍したアニーに登場を願っている。実はアニー役の森永奈緒美は芸能界を引退して久しかったのだが、宇宙刑事の"継承"をテーマとする『NEXT GENERATION』にはなくてはならない存在として、強い要望を受けての出演となった。