『宇宙刑事シャリバン NEXT GENERATION』&『宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION』より

二代目シャリバン=快を演じた三浦力は、もともと塚田氏が制作を担当した『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(2007年)でゲキバイオレット=深見ゴウを演じていたこともあって、『ギャバン THE MOVIE』のころから「シャリバンでスピンオフをやりたいね」と話していたそうで、単独主役のVシネマはまさに三浦にとっても待ちに待った作品だった。

『シャリバン』『シャイダー』の2本を作るにあたり、製作サイドは両作にコントラストをつけようと提案。『シャリバン』のほうはハードボイルドなクライムアクション、『シャイダー』のほうは明るく楽しい痛快アクションという方向性が目指された。

荒川氏はシナリオを執筆するにあたって「まず、作品世界に入り込むために"サブタイトル"を考えた」と語っている。オリジナル版『宇宙刑事シャリバン』(1983年)のサブタイトルは、第1話こそ「幻夢」とシンプルだが、第5話「港のヨーコは愛のメロディを忘れない」や第19話「魔境岬に一人立つ神秘の少女」、第42話「戦場を駆け抜けた女戦士の真赤な青春」など、字面から熱いドラマ性が伝わってくるような大仰で長いものがほとんど。『宇宙刑事』を愛する荒川氏が、新作のシナリオに取り組む前に考えたサブタイトルは「怒れ快! 裏切りの果てに安らぎはない」という、『シャリバン』スピリットに満ちた熱のこもったもの。ここからも、荒川氏が『シャリバン』の新たなる世界構築にかけた、強い意気込みがうかがえるだろう。

塚田氏は『シャリバン』について、「僕は明るくポップな雰囲気が好みで、それだけに荒川さんに(脚本を)お願いしているところがあるんですけれど、『シャリバン』ではかなり気合いを入れて、シリアスなハードボイルド作品を書いていただきました」と方向性を回想すると、中野氏が「Vシネマということもあり、大人向けの方向性で行きたかった」と、テレビ放送とは一味違うVシネマならではの作品作りを目指したことを明かした。

登場キャラクターについて荒川氏は、「主人公である快は、先代シャリバンの伊賀電とは違った個性にしようと思った」と語り、若さと情熱でがむしゃらに悪へと向かっていった伊賀電との差別化で、快は「常に自分の動きを計算するクールで無駄のない男」という人物像になったという。しかし、クールであっても内面に熱いものを持ち合わせていることが、快の人物像をいっそう魅力的にしている。