選べる客室を備えたブルートレインで一泊

また、沿線の多良木駅の近くには宿泊可能な「ブルートレインたらぎ」がある。鉄道好きなら、復路は多良木駅で停車するのもいい。

簡易宿泊施設「ブルートレインたらぎ」

簡易宿泊施設となったブルートレインには3種の客室タイプがある。宿泊料は大人3,080円(税込)で、料金にはふれあい交流センターえびすの湯入館料が含まれる。 近くには二重のうな丼がいただける「吉鶴」やとれたて野菜や多良木の特産品がそろう「多良木えびす物産館」もある。

2号車交流スペース

3号車個室タイプの客室

1号車開放型(4ベッドタイプ)

特産品がそろう「多良木えびす物産館」

「ふれあい交流センター えびすの湯」

多良木町には、標高約500m地点に人吉・球磨が一望できる絶景スポット「妙見野自然の森展望公園」があり、冬の霧が濃い日には雲海を見ることができる。毎年11月には全国各地からパラグライダーなどのスカイスポーツを楽しむ人たちが集まるイベント、「TARAGIえびすスカイフェスタ」が開催される。

人吉・球磨を一望する「妙見野自然の森展望公園」スカイフェスタと雲海(画像提供: 多良木町)

パラグライダーで自然を感じる(画像提供: 多良木町)

また、田園シンフォニーの終点駅がある湯前町には、子宝祈願の潮神社と夫婦円満の賽神社がある。潮神社は女性の神様で、母乳の出が良くなるオッパイの神様で、産前産後に乳房を型どったものを作って奉納するとご利益があるという。一方、賽神社は男の神様で、両社に参拝すると夫婦円満、縁結びになると伝えられている。

狛犬ならぬ狛猫が

湯前町にはというと、神秘に満ちた隠れ里の遺産「相良三十三観音めぐり」25番礼所の普門院観音など、日本遺産に登録された6つの観音堂がある。多良木町の22番札所「中山観音」には千年以上前にカツラの一木で彫られた美しい聖観音立像、23番札所「栖(す)山観音」は不思議な優しさに満ちた千手観音像が脇の毘沙門天など3躯ととも安置されている。三十三観音は地域で守られ、お彼岸の時期に一斉開帳される。栖山観音など、管理者へ声掛けすれば拝見できるものもあるので、興味がある人は人吉球磨日本遺産活用協議会に聞いてみよう。

多良木町の「中山観音堂聖観音四天王像」(画像提供: 人吉球磨日本遺産活用協議会)

そんな湯前町の隣には、球磨川の水源がある水上村(みずかみむら)がある。ここには人吉藩で起きた化け猫騒動にちなみ、その怨霊を祀るために創建されたという「生善院観音堂」がある。山門の前には狛犬ならぬ狛猫やかわいい猫みくじもあり、"猫寺"とも呼ばれている。さらに水上村では圧巻の絶景、1回500円で市房湖水に高さ80mの大噴水を10分間に渡り吹き上げることができる「市房湖大噴水」もある。

水上村「市房湖大噴水」(画像提供: 熊本県)

水上村「生善院観音堂」の猫みくじ(画像提供: 熊本県)

なお、球磨地域では場所によっては公共交通がない場所もある。行く場所により事前に観光案内所等で情報を確認しよう。人吉タクシーにはじゃらんで予約できる1時間3,700円~の貸し切りタクシーサービスもあるので、プランにあわせて上手に活用していただきたい。

筆者プロフィール: 水津陽子

フォーティR&C代表、経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、企画コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。著書に『日本人がだけが知らないニッポンの観光地』(日経BP社)等がある。