避妊に失敗したときにできることは?

こんにちは、トイアンナです。私は20代前半のころから性暴力防止団体を運営しています。性暴力とは、セクハラから痴漢やレイプまで「性的な暴力」すべてを指す言葉です。

「性暴力」という言葉から、知らない人にいきなり襲われる犯罪を想像するかもしれません。しかし、「恋人から無理やりセックスさせられた経験がある」「コンドームを頼んでもつけてくれない」などといった「デートDV」も含まれます。

そして性暴力を語る上で避けられない話題に「避妊」があります。今回は、「妊娠したかもしれない」というタイミングで、女性側ができることをお伝えします。あなたのため、そして友達から助けを求められたときにも役立つ知識として、ストックしていただければ幸いです。

女友達からの早朝のSOS

ある日の午前5:00、友達から電話がかかってきたことがあります。こんな時間に何事かと思って取ると、泣きながら「どうしよう、知らない人と生でしちゃった。お酒を飲んでたから記憶がない……」と慌てふためく声が。なんと隣にその男性がいる真横からヒソヒソ声で助けを求めてきたのです。

普段はお酒を飲んでも記憶を失うことなんてない彼女。事件の可能性も考えて「彼の身元がわかるもの、ある? 」と確認しました。

不幸中の幸いとでも言うべきか、事前に彼の名刺をもらっていたので男性側の身分は明らかでした。であれば、"まずは病院へ行ってモーニングアフターピルをもらおう"と、私はタクシーで彼女の泊まっていたホテルまで迎えに行きました。

そのときは私もパニック状態で、「婦人科が開く時間まで一緒にカフェで待とう」と数時間を潰してしまいました。しかし今思えば、事件になる可能性もあったことですし、緊急医を探せば良かったと後悔しています。

まずは病院へ行きましょう

ですので、「妊娠したかもしれない」と思い当たることがあったら、まずは婦人科へ連絡してみましょう。セックスのあと72時間以内(3日以内)であれば、前述したモーニングアフターピルという薬を処方してもらうことで妊娠を防げる可能性があります。ただし、数%は妊娠を防げない場合もあるといわれていて、副作用の心配もありますので、緊急時以外に頼るべき避妊法ではないでしょう。日頃からの避妊法としては、100%に近い確率で避妊ができる「低用量ピル」があります。

婦人科でも特に、「モーニングアフターピルを処方する」とwebサイトに書いてある病院なら確実に相談できて安心です。もし不安なら、事前に電話で問い合わせてから来院するようにしてください。ただし、体の状態や既往歴によっては処方してもらえない場合もあります。

もし「性暴力」だと感じたら

「コンドームが破れてしまった」といった事故の場合は、婦人科に行って相談することで、安心が得られるかもしれません。しかし「彼氏から無理やりだった」など性暴力を受けた場合は、病院以外にも相談先はいくつかあります。

・カウンセリングを利用する
受けた被害について傷ついたと感じている場合は、カウンセリングを受けるか、同じ気持ちを経験したグループ(自助グループ)を探すこともできます。カウンセラーは病院併設のところから気軽に相談できるカウンセリングルーム、さらに家で受けられる電話カウンセリングまでありますから、モヤモヤした気持ちを話してみましょう。

・支援団体へ相談する
全国に性暴力被害者の方を支援しているボランティア団体があります。「警察へ訴えたい」という相談から「まずは話を聞いてほしい」といった内容まで、幅広く対応してもらえますので、最寄りのワンストップセンターを探してみましょう(本稿末尾の関連リンク参照)。

ここまで、望まない状況で「妊娠したかもしれない」ときにできることを並べました。繰り返しますが、まずは婦人科へ行きましょう。同様の相談を受けてきたプロの先生方がいますので、あなたの心と体を守るためにできることを教えてもらえる可能性が高いはずです。そして何より、一人で悩んでいる時間が一番つらいです。安心できる人へ事情を話して楽になり、落ち着いてから対策を考えられますよう応援しています。

※本コラムは個人の体験や取材に基づくものであり、医療的な効果などを示唆・保証するものではありません
※画像は本文と関係ありません


著者プロフィール: トイアンナ

外資系企業で約4年勤務。キャリアの一環としての消費者インタビューや、独自取材から500名以上のヒアリングを重ねる。アラサー男女の生き方を考えるブログ「トイアンナのぐだぐだ」は月間50万ページビューを記録。現在もWebを中心に複数媒体でコラムを連載中。