訪問看護を利用するうえで注意したいこととは(写真と本文は関係ありません)

病気を患ったり障害を持ったりした人たちが、住み慣れた家でその人らしい生活を送れるよう、看護師らが生活の場へ訪問してさまざまなケアを実施するサービス・訪問看護。超高齢社会の日本においてそのニーズは高まってきており、そのサービスは広がりつつある。

ただ、実際に訪問看護を利用するとなったら、「どの事業者に依頼をすればいいのか」「毎月の負担金額はいくらぐらいになるのか」などの疑問や悩みは尽きないはずだ。特に看護・介護問題は、ある日突然に訪れる可能性があり、何の事前知識もないまま、さまざまな選択を迫られるケースも考えられる。

そのような有事に備えるべく、今回は看護師を経験した後に看護学について教鞭をとった経験を持つUHCの櫻井友子さんに、訪問看護の利用料金などについてうかがった。

介護保険と医療保険のそれぞれの特徴

訪問看護サービスには医療保険や介護保険といった公的保険が適用されるが、保険を利用できる条件は2つの間で異なっている。介護保険は原則として「40歳以上で要支援・要介護と認定された人」に適用され、この条件を満たさない人は通常、医療保険の対象となる。それぞれの保険の詳細は以下の通り。

介護保険

介護保険加入者が訪問看護を利用した場合、自己負担額は利用料金の1割(一定以上の所得がある場合は2割)である。その際に注意したいのは、要介護度に応じて保険から支給される金額に上限があるという点だ。

例えば、最も要介護度が軽い「要支援1」の毎月の支給限度額は5万30円(5,003単位: 1単位を10円で計算)で、最も重い「要介護5」は36万650円(3万6,065単位: 同)と、7倍以上の開きがある(1単位あたりの単価は市区町村によって異なる)。この支給限度額を超えた分は全額自己負担となるため、実際はこの支給限度額内に収まるよう、利用者が訪問看護サービスを調整しているのが実情と言える。

医療保険

一方、医療保険の自己負担額は一律ではない。70歳未満の人が対象となった場合、かかった医療費の3割を自己負担するのが大原則ではあるが、義務教育就学前の児童ならば負担の割合は2割に減る。子どもへの手当てが充実している地域ならば、すべて自治体が負担することもある。また、70歳以上の高齢者の場合は1割負担が原則だが、現役並みの所得があれば負担割合は3割まで増える。

そのため、医療保険を利用することになったら、訪問看護のサービスを受ける対象の人は何割負担に該当するのかをきちんと確認しておくとよい。