全キャラ歌唱後に、『まほいく』ファンへのサプライズ!

キャラソンブロックのラストは、のちに緒方恵美から"アダルトチーム"と称される3組。まずは円形ステージにシスターナナ役の早見沙織と、ウェス・ウインタープリズン役の小林ゆうが登場し、「Purest」を披露する。穏やかな微笑みで、マイクを両手持ちし、おしとやかに歌う早見と、Dメロのソロパートを中心に凛々しく通す小林、ともにキャラそのものとしてのステージングだ。ふたり手を取り合ってのサビ歌唱、そして手をつなぎながらのリフトダウンでの降壇も、さらにその印象を強くさせた。

そのセンターから、今度はカラミティ・メアリ役の井上喜久子と、マジカロイド44役の新井里美が登場。特筆すべきだったのは、登場した瞬間からの、井上の眼光の鋭さ。冷酷かつ残忍なシーンの目立ったカラミティ・メアリを、視線だけでここまで表現するとは。一方新井は、実はこの日が人生初のキャラソンライブ。それもあってか、2コーラス目以降によりキャラに深く入り、最後はふたりでビシッと客席への指差しを決めていた。

そして次の曲のイントロと同時に、客席はグリーンに染まる。森の音楽家クラムベリー役の緒方のために、会場は一体となった。マイクとともに手にした小さなブーケなどでのムード作りも行いつつ、歌声をややたっぷりめにとって響かせていく緒方。それは彼女に積もっていたであろう長年の想いを具現化させる、CDではなく生でなければ感じられないもの。それを聴き手の胸に叩き込む、表現者として面目躍如なステージだった。

このブロックのトークパートもなかなかに濃密で、「スノーホワイト役の東山奈央です」と緒方が自己紹介でボケると、すかさず普段言われる側の井上が「おいおい♪」とツッコんだり、トークの順番が来ると早見・小林が肩を組み始めたり(※主に小林主導)、なかなかにわちゃわちゃしたものに。また、新井が「注目です!」と話題にした井上の衣装のスリットは実はその新井と対になっていることや、先ほどの緒方の歌唱はイヤモニを付け忘れて歌いきったことが明かされたりと、短いながらも充実の内容となっていた。

「最後までいろいろありますので、楽しんでいってくださいね!」と井上の言葉で、降壇する5人。同時に暗転する舞台。あれ、全キャラもう歌ったはずだぞ……と思っていると、ステージ後方の扉が開き、そこからEDアーティスト・ナノがシークレット登場! ED映像を背に「DREAMCATCHER」を歌唱する。パワフルながらも鋭い歌声で、ミドルバラードにも近いこの曲を歌い上げていくナノ。速い曲よりも一音一音にかかる圧が、より強いように感じられた。これも生ならではの、ナノのボーカルの持つ力が為せる技なのだろう。

ここでしか聞けない! 作品の裏話とキャストそれぞれの思い入れ

最後に、キャスト15人が登壇して作品を振り返るトークコーナーに。しかし、この人数、そして場馴れしたキャストがそろうと、些細な話題からどんどん面白い方向にトークが転がっていく。それを見た進行担当の東山は、さすがにスキを見計らって「『まほいく』の話をしてもよろしいでしょうか!?」と奮闘ぶりをみせていた。

その後、まずはそれぞれのオーディションでのエピソードが語られる。「全キャラ受けた」と場を驚嘆させた佐倉に始まり、早見が一択で受験したシスターナナを、実は井上も受けていた……とここでしか聞けない裏話が満載。また、事務所ごとのペアでのオーディションだったミナエル・ユナエルは、つまりオーディション時はこのふたりはライバル同士。最初に松田颯水に連絡があり、「『あぁ、落ちたんだ……』と思い号泣しながら『さっちゃん頑張ってな』って言ったら『あんたもやで』と言われた」と、松田利冴が姉妹ならではのエピソードを明かしてくれた。

そして最後に、各キャストからのコメントが。「『双子だから決まったんだな』と思われないように頑張って、ミナエル・ユナエルとして迎えてもらえたことがうれしかった」と涙で言葉を詰まらせながら語った松田颯水などが作品の思い入れをそれぞれ語るなか、「トップスピード役を演じさせていただいております」と、いまだに進行形で語ってくれる内山の、その言葉の選び方もうれしい。

また沼倉は「いろんな思い出や感情の揺れがあって、勉強になったことの多い作品でした。『叫べ』を歌うたびにこの作品のことを思い出してもらえるよう、歌い続けていけたら」と語る。そして最後を飾った東山は「やっぱり語れる作品って、ずっと先まで残ると思うんです」と切り出す。「『もし魔法少女じゃなかったら』とか『あそこでアイテムが投入されなかったら』とか、話すとどんどん『まほいく』のいろんな世界が見えてくると思いますし、原作続編もすごく面白いのでこの続きも観られるように愛を深めて応援していただけたらと思います!」との言葉で、イベントを締めくくった。

TVアニメの、一旦の総決算となった本イベント。しかし最後に東山が語ったように、原作世界はまだまだ広がり続けている。アニメで描かれたエピソードにも原作にもまだまだ愛を注ぎ込んでいただいて、その結果、また衝撃だらけの続編が映像化されることを、筆者も心から熱望したい。

『魔法少女育成計画』のキャラクターソングLIVE「Musica Magica(ムジカマギカ)」セットリスト

M-01 叫べ 沼倉愛美
M-02 Forget me Not… ハードゴア・アリス(日高里菜)
M-03 DESTRUCTION リップル(沼倉愛美)×トップスピード(内山夕実)
M-04 ユメトユメ スノーホワイト(東山奈央)×ラ・ピュセル(佐倉綾音)
M-05 ピーキーわんだふる! ミナエル(松田利冴)&ユナエル(松田颯水)×たま(西明日香)
M-06 おやすみパラレル ねむりん(花守ゆみり)
M-07 Betrayal ルーラ(日笠陽子)×スイムスイム(水瀬いのり)
M-08 Purest シスターナナ(早見沙織)×ヴェス・ウィンタープリズン(小林ゆう)
M-09 .魔法少女は嗤う カラミティメアリ(井上喜久子)×マジカロイド44(新井里美)
M-10 孤独な森のメロディー クラムベリー(緒方恵美)
M-11 DREAMCATCHER ナノ(シークレット)