「過敏性腸症候群」の症状や原因とは

急にお腹が痛くなるのは、もしかして?

ビジネスシーンでは、緊張を強いられたりプレッシャーを感じたりする場面も多い。皆さんには、通勤中や大事なプレゼンの前などに、急にお腹を壊してトイレに駆け込んだ経験はないだろうか。

今回は、お腹の症状があるのに内科的な病変は見つからない「過敏性腸症候群」について、消化器外科・外科の小林奈々医師にお聞きした。

――過敏性腸症候群の症状と原因について教えてください。

過敏性腸症候群とは、腹痛もしくは腹部不快感とそれに伴う便通異常が持続する一方で、それに関連する器質的疾患(がんや腸炎など)はないものを言います。主な症状は、下痢や便秘、腹痛、腹部不快感などです。

さまざまな原因が考えられますが、ストレスなどの心理的要因が多いとされています。「緊張すると下痢をしてしまう」「出勤時にお腹がグルグルしてしまう」「ストレスがたまると便秘になる」などがそうですね。また、食べ物や腸内環境が関与するとも言われています。

――過敏性腸症候群になりやすい人の傾向はありますか?

過敏性腸症候群を予防することは難しいが、偏食や食事量のアンバランス、夜食、睡眠不足、心理的な社会のストレスを改善することが対策とされている

小児の頃からお腹が弱い人は、過敏性腸症候群に移行しやすいと言われています。予防することは難しいですが、偏食や食事量のアンバランス、夜食、睡眠不足、心理的な社会のストレスを改善することが対策とされています。また、アルコール、香辛料、特定食品に対する症状の増悪があるならば、それらの摂取を控えることも重要です。

ただし精神的ケアが必要なときもあり、その場合は医師にご相談ください。自分が少しでもこの疾患に当てはまると思った方は、体質と捉えることなく、医療機関の受診をお勧めします。

――内科では、どのような検査と治療が行われますか?

診断に至るまでは、診察時の問診や触診などに加え、各種検査(採血、腹部レントゲンやCT、下部消化管内視鏡)が必要なときもあります。腹部の症状のほかに、発熱、関節痛、粘血便、体重減少などがある場合は、がんなどの他の疾患を認める可能性もあるので、しっかりと精査をしてください。

治療では、ストレスの原因を取り除くことがとても大切になりますが、それは簡単ではありません。ですので、ストレスが明確な場合は、その対策を相談するとともに、内服薬にて加療を行います。症状に合わせて内服薬が異なりますので、主治医の先生としっかりと相談してください。

※写真と本文は関係ありません


取材協力: 小林奈々(コバヤシ・ナナ)

消化器科、消化器外科、外科医
クリニックでは専門である消化器疾患、痔を含め全般的な内科疾患の診療に従事。週2回の病院勤務では消化器疾患の手術を行いながら、消化器疾患中心の外来診療に携わっております。
このほか予防医学、早期発見早期治療の重要さを伝えるべく講演や新聞、雑誌などへのコラム掲載を行っております。
患者さんを第一に考え、患者さんの目線にたちながら、常に笑顔で、女性外科医だから行える気くばりと柔らかさのある診療を行うべく日夜励んでおります。
En女医会所属。さくら総合病院、自由が丘メディカルプラザ勤務。


En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。