フェラーリはスイス・ジュネーブで開催された「第87回ジュネーブ国際モーターショー」にて、プロダクション車両の歴史上で最強出力を誇る「812 Superfast」のワールドプレミアを実施した。最新の6.5リットルV型12気筒エンジンを搭載し、フロント・ミッドシップエンジン・スポーツカーのセグメントにおける新たなベンチマークとなる。

フェラーリ「812 Superfast」

「812 Superfast」は、8,500rpmの高回転数域で最高出力に到達するフェラーリV12の際立つ特性を備えた最新の6.5リットルV型12気筒エンジンを搭載。最大トルクは718Nm/7,000rpmとなり、その80%以上を3,500rpmから発生させることで、低回転域でのドライバビリティーとピックアップも向上している。

トランスミッションはフェラーリ製F1デュアルクラッチ・トランスミッションを搭載。パフォーマンスの増加と高回転化に合わせて、ギアレシオはすべてのギアにおいてショートレシオ(平均6%)となり、高いギアでのピックアップを損うことなく加速性能を引き上げている。車両のスポーツ性能を際立たせることを目的に、ギアシフトのプログラムも最適化され、応答時間も大幅に短縮された。

フェラーリ初採用となる電動パワーステアリング(EPS)は、車両に搭載されるすべての電子ビークル・ダイナミクスコントロールと統合され、車両性能をフルに引き出すことを可能とした。電動前輪操舵アシスタンスとタイヤジオメトリーのメカニカルコンセプト、後輪操舵を組み合わせた「バーチャルショートホイールベース 2.0 システム(PCV)」も採用。車体制御システムに統合されており、俊敏さや応答速度の向上に貢献する。

エアロダイナミクスにおいては、メカニカルに作動するアクティブモバイルエアロダイナミクス、気流圧によって作動するパッシブモバイルエアロダイナミクスなどの可変エアロ・デバイスにより、きわめて低いドラッグ値を実現。エクステリアデザインはなめらかなファストバックスタイルのシルエットを描き、1969年の名車「365 GTB4(デイトナ)」を想起させるハイ・テールの2ボックス・スタイルとなっている。フロントのフルLEDヘッドライトはボンネットに設置したエアインテークと一体でデザインされ、フェラーリ伝統の4灯丸型テールライトは水平基調とするデザイン・テーマを強調した。

ジュネーブモーターショーでは、70種類のテーラーメイドを5つのモデルで利用できる、フェラーリ70周年の記念に向けて開発された特別仕様の一例も発表された。フェラーリの歴史にその名を刻んだ名モデルにインスパイアされた70種類のテーラーメイド・プログラムの中から、ひとつのカラーリングを5つのモデルで展開するものだという。

「812 Superfast」外観・車内と、ジュネーブモーターショーの展示車両