セレナに続きノートを投入、日本市場で巻き返しへ

2016年8月に日産は新型「セレナ」を発売。自動運転レベル2の「プロパイロット」を搭載するなど、新技術を多く採用した新型車は好評を博した。だが、このクルマは日産として国内では2年半ぶりの新車だったのだ。

ゴーン体制がグローバル戦略において、日本市場を軽視していたことは否めない。実に2年半も国内で新型車投入がなかったことで、新型セレナ投入直前の第1四半期(4~6月)の日産の国内シェアは8.3%と一桁台にまで落ち込んだ。他社の販売店からは、「日産ディーラーさんは良く耐え忍んできたね。ゴーン社長は日本市場を軽視しているんじゃないの」との声が聞かれたほどだった。

ゴーン日産がマーケットの大きい米国や中国などを重視しているのは明らかであり、収益性の面からも、日本の比重が小さくなっていたことは確かだ。もっとも、セレナに続き「ノートe-POWER」を投入するなど、商品力を強化し、巻き返しを図る動きも出てきている。

発売から好調を維持し、2017年2月末までに累計6万5,000台を売った新型「セレナ」(左側)。電気自動車の乗り味を実現するパワートレインが話題を呼んだ「ノートe-POWER」もよく売れている

ゴーン氏は電気自動車(EV)で世界覇権を狙うと豪語していたが、そのEV戦略も販売目標とずれて伸び悩んだ。EVでは、むしろ米テスラが世界で話題を集め、日産のお株を奪う動きを示している。

また、ゴーン氏の高額報酬に批判が集まったこともある。日産で10億円、ルノーで9億4,000万円、さらに三菱自の会長報酬も加わるわけで、ルノーの筆頭株主であるフランス政府から注文がついて減額となったのも頷ける。

特徴的なパフォーマンスもゴーン流だが、攻めている状況では強いが、弱い面があると上手く逃げるようなところがあるのは、インタビューでも感じたところだ。