『アイドルマスター』765プロ単独としては2年3カ月ぶりとなる大型イベント「THE IDOLM@STER PRODUCER MEETING 2017 765PRO ALLSTARS -Fun to the new vision!!-」が、2017年1月28日~29日、千駄ヶ谷・東京体育館にて開催。今回は29日に行われたイベント最終日の模様を紹介する。

今回のイベントには、中村繪里子(天海春香役)、今井麻美(如月千早役)、浅倉杏美(萩原雪歩役)、仁後真耶子(高槻やよい役)、若林直美(秋月律子役)、たかはし智秋(三浦あずさ役)、釘宮理恵(水瀬伊織役)、平田宏美(菊地 真役)、下田麻美(双海亜美・真美役)、長谷川明子(星井美希役)、原 由実(四条貴音役)、沼倉愛美(我那覇 響役)の765プロオールスターズに加え、2日目はスペシャルゲストとして赤羽根健治(アニメ『アイドルマスター』プロデューサー役)と茅原実里(玲音役)が出演した。イベントの基本的な構成は初日と同じなので、できれば初日レポートをあわせて読んでほしい。

イベントタイトルにある「new vision!!」とは何か。その答に一番近そうなのは、イベント冒頭にステージスクリーンの端からひょっこりと客席を覗きこんだ天海春香の存在だろう。PS4『アイドルマスター プラチナスターズ』のキャラクターモデルをベースにした春香がステージ上に投影されると、笑顔で会場に挨拶。「みんなー! うしろの席まで、ちゃんと見えてるからねー!」と劇場版の春香の名台詞を客席に投げかけた。この春香には中村が生ナレーションで声をつけていた。イベント当日都内で開催されたマラソン大会になぞらえて「今日会場まで走ってきた人?」との問い掛けに会場からかなりの数が返事をすると、その嘘を笑いながらたしなめて見せるなど、中村は舞台袖なりの然るべき場所から、本当に「客席がちゃんと見えて」いたわけだ。

この春香は、バンダイナムコスタジオによるBanaCAST (BandaiNamco Character Streaming Technology)という、リアルタイムにキャラクターを動かす技術を活用したもの。それも事前に用意したものではなく、アクターの動きをリアルタイムで映像に反映しているとのことだ。初日の春香はくるりと二回転して衣裳を見せてくれたのだが、2日目は三回転してみせた。肝なのは、おそらく前日に若林が「プロデューサーとしては、回転のあと(春香らしく)こけてほしかった」と注文をつけたことを受けてだろう、明らかに回転のあとのよろめきや、退場の時に転びそうになるニュアンスが動きに入っていたこと。中村は今後春香たちのステージを見せられるかも、という部分に含みを持たせていたので、新しい種類のイベントコンテンツが今後生まれる可能性もありそうだ。

もうひとつ、これに近い方向性を感じたのは全員曲「ザ・ライブ革命でSHOW!」が始まる前だった。巨大スクリーンに『プラチナスターズ』のアイドルたちが765プロファイトの円陣を組み、舞台裏を走っていく映像が映し出される。アイドルたちが舞台袖からステージに飛び出すと、そのまま現実の演者たちもステージに登場する仕組みだ。他の曲でも、歌っているキャストの背後の大スクリーンに『プラチナスターズ』のライブ会場セット映像を映し出すことでステージに奥行きを感じさせたりと、ボーダーレスな演出が行われていた。

「765プロアイドル・スペシャルライブ映像」と銘打たれたコーナーでは、『プラチナスターズ』のアイドルたちのライブ映像を大スクリーンで上映したのだが、面白かったのは2日目の映像内セットリスト。「七彩ボタン」は朗読劇の中で響が「歌いたい!」と言っていた曲だし、「目が逢う瞬間」は前日「プロデューサーズボイス」のコーナーで司会を務めた赤羽根が話題に出していた楽曲。同コーナーで原が「プロジェクトフェアリー(美希、響、貴音によるユニットの『アイドルマスターSP』での名称)で歌いたい!」と話していた「オーバーマスター」はズバリその3人が歌うものだった。「高嶺の花ね」「心に響き」などでちゃんと本人をアップで抜いているのもポイントが高い。曲目とトーク内容とのシンクロが興味深かったし、「edeN」で冴え冴えとした雰囲気の真や美希がスクリーンに登場した時の会場のざわっとした感じには不思議なライブ感があった。

そうしたモニターの向こうのアイドルたちをこちら側に引きよせるようなアプローチがあった一方で、「生身」の凄みを爆発させたのがシークレットゲストの玲音役・茅原実里だった。茅原といえば2014年10月に今回と同じ東京体育館で開催された「THE IDOLM@STER 9th ANNIVERSARY WE ARE M@STERPIECE!!」の最終日にもサプライズ登場しており、当日終演後に茅原&玲音が9thに登場の「号外」風ペーパーが配布されたのも印象深い。

そんな茅原は朗読劇「765プロ大感謝祭」の終盤、昨日は秋月涼役の三瓶由布子が登場したくだりに出演した。オーバーランクアイドル・玲音として、貴音たちが演じる「かぐや姫」に飛び入り出演。亜美たちが繰り出す「ムーンシャドウ帝国の女王役をやってよ!」などの無茶振りにも、高笑いや歌舞伎っぽい見得を織り込んだ迫真の演技で対応する。3年前は茅原の圧倒的なボーカル力で玲音の強さとイメージを表現していた感じだったが、今回は朗読の演技でもオーバーランクたる凄みを表現したのには脱帽だった。その演技を受けての茅原による「アルティメットアイズ」のライブステージはまさに圧巻。茅原は「玲音のライブの動画を去年からすっごく見て、玲音の圧倒的なパワーとシンクロして歌えるようにいっぱい練習しました。すごく幸せでした」とやりきった充実感とこの空間で歌えた喜びを語っていた。

765プロ全員が揃わないと歌えない歌「団結」

さて、イベントを冒頭から振り返ると、プロデューサー投票によるオープニングナンバーは、やはり「団結2010」だった(無印の「団結」は響・貴音加入前のため)。この自己紹介ソングがライブで初めて歌われる場が、新たな始まりを告げるイベントだったのが感慨深い。この曲に関しては今井の「念願だった『団結』。全員揃わないと歌えないこの曲が歌えて(感)極まっちゃいました」の言葉が全てだろう。

ちなみに「プロデューサーズボイス」のコーナーで明かされたオープニングナンバーの投票結果は、「1位:団結、2位:チェリー、3位:THE IDOLM@STER、4位:READY!!、5位:ザ・ライブ革命でSHOW!、6位:Colorful Days、7位:自分REST@RT、8位:M@STERPIECE、9位:GO MY WAY!!、10位:Happy!」というもの。新旧様々な楽曲が揃ったが、ほとんどの楽曲がオープニングにぴったりとハマるのが流石はプロデューサーたちとしか言いようがない。個人的には18位の「L・O・B・M」が目を引いた。作詞のmft氏がタイトルに込めた意味は「愛が団結した応援曲」であり、それはこのイベントの中で示されたテーマにとても近く思えたからだ。

投票結果を見た沼倉は「歴史がある曲が多いので、それだけ長く愛してくれている人が投票してくれてるんだなって」と感慨深げ。「Colorful Days」は沼倉が響としてのデビューシングル「オーバーマスター」と同日発売された楽曲だ。前日はちょっと風邪気味だとしていた釘宮が、元気にニコニコしながら「『MUSIC♪』が好きです!」「『START!!』ははじまるって感じがする」と積極的に感想を挟んでいたのにほっとする思いだった。プロデューサーとしてステージを進行することにとにかく緊張していた赤羽根だったが、会場も赤羽根Pのイメージカラー(にこの2日間で決まった)の赤のサイリウムで後押ししていた。

「朗読劇『765プロ大感謝祭』」は前日とサプライズ部分以外の基本のストーリーは同じだったが、間に入る選択肢が違うためにかなり異なる進行に。前日の内容を踏まえて今井が罰ゲームを超警戒していたりと、誰に無茶振りをして誰が身体を張るかの探り合いという、関係性ゲームとして見るとすごく面白い。新鮮だったのは沼倉と仁後のやりとり。ラジオでは長谷川たちにぶん投げるのがお約束だった仁後だが、当時のラジオでは比較的絡みが少なめだった沼倉が「ここはやよいが締めないといけないと思うぞ」「なんだか(やよいの生歌を気にする会場の)オレンジが見えるぞ」とぐいぐい押していくと、仁後も「やるときはやります!」とやりきって見せていた。浅倉がふっきれたイケメン演技からあざとすぎる演技までの幅を見せたり、沼倉が「かわいさ」の見本を完璧以上にやりきったり。律子のものまねを要求されて進退窮まった下田が客席に目を瞑らせて若林本人にしゃべらせるファインプレイを見せたりと、若い世代の活躍が目立つ2日目だった(新リズムネタ・パイパイご参パイを編み出したたかはしは殿堂入りとする)。

2日目の朗読劇の後半は茅原実里演じる玲音がサプライズゲストとして登場したのは前述の通り。亜美の無茶振りを120%で受け止めた玲音と、貴音らしさを全開にした原の大仰な芝居ががっちり噛み合っていたのが面白い。ラストで玲音は765プロを家族と形容すると、たくさんの個性が集まった時の暖かい空気感、それがファンを笑顔にすることこそが強さだと評した。その言葉は、このイベントをそのままあらわしたものだったように思う。

『プラチナスターズ』楽曲を中心としたライブパートは前日と同じセットリストだったが、前日は久々のステージ、久々のフルメンバーで高まりきっていた感情が高まったまま安定した結果、パフォーマンスの質がさらに上がっていた気がする。今回のイベントは765プロイベントの様々な側面を見せ、新しい表現の模索がされていた一方、締めの挨拶では今井からの「歌だけのライブがやりたーい!!」という心からの叫びも聞かれた。アイドルたちと一緒に進んでいくためにどんな道を歩むべきかは、これからもアイドルとスタッフ、プロデューサーたちが一緒に探していくことになるだろう。キャストたちの言葉にたくさんの想いや迷いも垣間見えたからこそ、釘宮の「あたしはシンプルに。みんなだいすき!」と叫んだ想いや、たかはしが「これからも10年20年、還暦までやろうよ!」と限界を笑い飛ばした言葉がとても頼もしく感じられた。

公演の終了後、高木社長からは、両日会場で会場のコール音声を収録した「紅白応援V」が3月29日にリリースされることや、4月22日・23日に開催される台湾公演「THE IDOLM@STER 765 MILLIONSTARS First Time in TAIWAN」が日本全国47都道府県と韓国・台湾でライブビューイングされることが明かされた。会場で、LVで、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の後輩たちもこの公演を見つめていたようなので、3月の日本武道館や台湾公演に向けて、きっと残るものがあったはずだ。

公演のラストは中村が、"いつもの"あの言葉で締めくくった。

「これからもこの締め言葉をずーっと言える日が続きますように。プロデューサーさん、これからもアイマスですよ、アイマス!」

「THE IDOLM@STER PRODUCER MEETING 2017 765PRO ALLSTARS -Fun to the new vision!!-」最終日

 - VR天海春香より挨拶 -
M-01 : 団結2010 / 765PRO ALL STARS
 - プロデューサーの声を聞いてみよう "プロデューサーズボイス" -
 - 朗読劇「765プロ大感謝祭」-
 - 765プロアイドル・スペシャルライブ映像 -
 (いっぱいいっぱい~七彩ボタン~My Best Friend~edeN~目が逢う瞬間~オーバーマスター)
M-02 : アルティメットアイズ / 茅原
M-03 : ザ・ライブ革命でSHOW! /765PRO ALL STARS
M-04 : Miracle Night / 釘宮、中村、下田、平田
M-05 : 僕たちのResistance / 沼倉、今井、仁後、長谷川
M-06 : アマテラス / たかはし、浅倉、若林、原
M-07 : 紅白応援V / 765PRO ALL STARS
M-08 : Happy! / 765PRO ALL STARS
M-09 : THE IDOLM@STER / 765PRO ALL STARS、茅原