病気以外の原因

加齢

年齢を重ねると歯肉の位置が少しずつ下がってくるため、歯周病と同じ理由で知覚過敏を招きやすい。

乱暴な歯磨き

歯をゴシゴシと磨く乱暴な歯磨きは歯の表面のエナメル質を傷つけ、その厚さをすり減らしてしまう恐れがある。毛先がやわらかめのブラシで力を入れすぎず効果的にブラッシングをするように。

酸性の飲食物を摂取する

炭酸飲料にビールやワインといったアルコール類のほか、かんきつ類などのすっぱい食べ物は、いわゆる「酸性の食べ物」だ。これらの飲食物を過度に摂取すると、歯が溶ける「酸蝕歯(さんしょくし)」になる可能性が高まる。歯が溶ける=エナメル質が溶かされるということで、今村医師は「果糖が多くてすっばいオレンジなどのかんきつ類の食べすぎはよくないですね」と解説する。

慢性的なトゥースコンタクティングハビット

トゥースコンタクティングハビット(T.C.H: tooth contacting habit)とは、歯ぎしりや食いしばりなどの「歯が接触するクセ」の総称。 強い圧力で歯と歯がこすれあう歯ぎしりや食いしばりは、エナメル質が摩耗するため象牙質が露出されやすくなる。

このほかでは、「ホワイトニング用の薬剤が象牙細管の穴に入る」「たまっていた歯石を取り除いたことで象牙質がむきだしになる」などの原因がある。

知覚過敏は初動が大切

口腔(こうくう)内で知覚過敏になりやすい歯(場所)は特にないそうだが、痛みが出始めた際の初動の重要性を今村医師は説く。

「いきなり全部の歯がしみるというわけではありません。痛みが局所的な段階で歯医者に行って診断してもらってください。食いしばりやかみ合わせ、虫歯歯周病が原因だと知覚過敏が全体に広がっていく可能性があるので、それに対しての治療をしていくことになります」。

歯磨きや食生活が問題だった場合、日常生活におけるケアを変えて対応していくことになる。

「加齢が原因ならば完治できないため、継続的に起こる知覚過敏に対応するためのホームケア術を覚えないといけません。強引な歯磨きが問題ならば、ご自身のやり方を変えてもらう必要性もありますしね」。

痛みが伴うことは変わりなくとも、そこに至るまでの原因が数多くあるうえ、原因が複合的なケースもあるため、その見極めが大切になる。知覚過敏になる可能性は誰にでもあるため、上述の疾患を招きやすい原因に心当たりがある人は、今日から改善してみてはいかがだろうか。

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 今村美穂(いまむら みほ)

M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長、MIHO歯科予防研究所 代表。表参道デンタルオフィス 矯正歯科。日本歯科大学卒業、日本大学矯正科研修、DMACC大学(米アイオワ州)にて予防歯科プログラム作成のため渡米、研究を行う。1996年にDMACC大学卒業。日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医・専門医。研究内容は歯科予防・口腔機能と形態及び顎関節を含む口腔顔面の機能障害。MOSセミナー(歯科矯正セミナー、MFT口腔筋機能療法セミナー)主宰。