――例えば防衛チームだと、チーム内の決まりや規律などがある程度あって、好き勝手には動かせないところがあるのかもしれませんが、『ウルトラマンオーブ』での各キャラクターは自由に動かしやすい造形となっているのが特徴というわけですか。

『ウルトラマンオーブ』を作るにあたり、僕が提唱しているのは「面白ければいいんじゃない」ってこと。現場でも、時々ちょっとそれじゃやりすぎかなって言われるような、普段なら抑えておこうかっていう部分があっても、なるべく面白いならいいやって通すようにしているんです。テストをやってみて、スタッフの誰かがクスッと笑ったら、それがOK!ってね(笑)。

やるからには今までと違うことをしないと新しくなりませんし、何より僕は現場が楽しくなければ映画が楽しくならないタイプ。自分のテンションの高い低いが、モロに画面に現れてしまうんです。

――第1話から新怪獣(魔王獣)マガバッサーが登場するなど、特撮シーンにも期待が集まりますが、今回はどんなところに力を入れましたか。

毎回、1話に一つくらいは「おっ!」と思うくらいのことをやらなきゃいけない、という方針を打ち立て、それを踏襲しています。第1話のマガバッサーは鳥の怪獣なんですけれど、今までの鳥怪獣って地上に降りたらそこで飛ばなくなることが多いので、マガバッサーは戦いの合間にもビョンビョン飛ぶような演出を試みています。

第2話でのマガグランドキングはデカすぎて格闘には向かなかったので、尻尾を少し小さく改造して動きやすくしつつ、巨大な大砲みたいにしちゃえと。特殊なビームを撃つんですけど、その破壊シーンには、今までになかったような演出を試みるなど、常に一捻りは入れるようにしています。大いに期待してください!

――怪獣とウルトラマンオーブのバトルシーンについては、大の怪獣映画ファンである田口監督のこだわりが随所に出てきそうで、とても楽しみです。

もともと、ヒーローの出てこない『ウルトラQ』や『ゴジラ』などが好きですから。『ウルトラマンオーブ』でも登場する怪獣一匹ずつの属性や過去などにこだわって、怪獣を丁寧に演出していきたいんです。なるべくそうしようと、シナリオの方たちにもお話作りをお願いしています。

――『ウルトラマンオーブ』ではガイの過去やライバル・ジャグラーの目的など、いくつかの謎をはらんだままストーリーが続いていく、連続性というのも強調されているんですね。

シリーズ構成を『ウルトラマンX』よりも詰めていって、最初の段階から最終回にこうなります、という構想をある程度固めて作るスタイルを徹底しています。「遊ぶ」っていうのがテーマのわりに、ストーリー構成の部分は毎週観て楽しめる連続性があり、面白くなっていると思います。

――最後に、田口監督から『ウルトラマンオーブ』のここを見てほしい! という見どころを教えてください。

意識的に過去シリーズへのオマージュのようなものを排除して、新たなるウルトラマンの可能性を拓くため、独自のウルトラマン像を目指して作っています。しかしその一方で、作品の中にあらゆるウルトラマンの要素が詰められてもいます。今撮影していて「原液」に近い何かができているのではないかという、手応えを感じます。ウルトラマン50年の年だからこそ「ゴール」を作るつもりではなく、前向きに新しい「スタート」を切って、より高みに飛んでいくようなシリーズにしたいと思っています。

『ウルトラマンオーブ』は7月9日(土)あさ9時から、テレビ東京系全国ネットで放送スタートする。

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(C)ウルトラマンオーブ製作委員会・テレビ東京