――主人公のクレナイ ガイに、俳優としてすでにキャリアのある石黒英雄さんを起用した決め手とは何だったのでしょうか。

『ウルトラマンX』のキャストは新人主体で選ぶ方向で、メイン隊員たちは80人くらいオーディションをして選んだのですが、今年は少し年齢が上の主人公ということもあり、キャリアのある役者さんから数人程度に絞って選んでいます。中野さんが書いてくるガイのキャラクターって、まるで60年代のアクション映画に出てくる風来坊って雰囲気なので、現代の人がそのままセリフを話すとコントみたいに思われかねないときがあるんです。

でも石黒さんはそのあたりをきちんと消化して、ガイを自分のものにされていますね。僕のほうからも、語尾はどんどん変えていってと話しているんですけれど、石黒さんからも「ちょっとオチャメなガイを見せたい」と提案があったりして、親近感のわく人物像になっていると思いますよ。

――変身するときに、「光の力、お借りします!」と敬語を使うあたり、ガイは歴代ヒーローへのリスペクトが強い男なんだと思わせますよね。

「ウルトラマンさん、ティガさん」って、歴代ヒーローを「さん」付けで呼ぶでしょう。ああいう呼び方するのって、僕が好きなんです。オーブは最新、最若手のウルトラマンなので、先輩ウルトラマンには敬意を表するべきではないか、って考えがあるからです。おそらく僕があの世界にいたとしたら、ウルトラマンを見たときに「ウルトラマンさん!」って呼ぶと思いますから(笑)。

「ウルトラマンオーブ バーンマイト」

「ウルトラマンオーブ ハリケーンスラッシュ」

「ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン」

――変身アイテムである「オーブリング」も放送前から発表され、話題を呼んでいます。

『ウルトラマンX』のエクスデバイザーより大きくてかさばるんですよ。エクスデバイザーは常に腰に付けていることができたのですが、今回常にむき出しは無理だなと。時々ガイは旅に出るときに帽子をかぶるんですけど、それもいきなり腰元から出すんです。都合がいいのは、ガイは人間にウルトラマンが憑依しているのではなくウルトラマン自身なので、巨大化できる人が帽子をどこからともなく出すくらい余裕だろうと納得はしやすいんですよね。

――防衛隊の存在が希薄な代わりに、SSPなる民間グループがガイと関わりを持つ設定ですが、「怪事件や怪現象に興味のある普通の若者たち」という設定が自由度の高さをうかがわせています。

最初、中野さんのアイデアでは、SSPとガイを「少年探偵団と名探偵」みたいな関係性にしたかったようなんですけれど、子どもをレギュラーにするのはスケジュール的にいろいろ大変だ、ということもあって、大学を出たくらいの若者達になったんです。

SSPって、異常現象を追いかけてサイトにアップするチームで、これって現代版『ウルトラQ』の万城目、一平、由利子のトリオのような立ち位置なんです。彼らに関わるガイは風来坊で、『ウルトラセブン』第1話のモロボシ ダンですよね。ナオミの叔父である渋川さんはビートル隊に所属する隊員で、『ウルトラマン』ハヤタのパロディ的ポジションでもあります。結果的にキャラクターシフトには『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の要素を入れていることになりますね。