「ものもらいを明日までに治したい」というときの対策法

ものもらいの症状が悪化してしまえば、かなり人前に出るのがおっくうな目になってしまう。このような事態に陥ってしまうと、「明日までにものもらいの症状を少しでも改善したい」「ものもらいを一刻も早く治したい」といった想いに駆られる人が大半だろう。そのようなときは、抗菌薬が入った点眼薬を使うようにしよう。

スルファメトキサゾール入り点眼薬がおすすめ

市販の点眼薬を購入する際は「スルファメトキサゾール」という成分が配合されたものを購入するとよい。抗菌薬が配合された点眼薬の大半は第二類医薬品に分類されるため、薬局やドラッグストアで購入が可能だ。あるいは、登録販売者がいるコンビニエンスストアでも買える。

医療機関で行うものもらいの治療法

これらのセルフケアを自宅で行っても症状の改善が見られなければ、いよいよ医療機関のお世話になる番だ。

まず、初期治療は抗菌剤入りの点眼や眼軟膏(なんこう)、抗菌薬や抗炎症薬の内服などで行う。医師の処方に限られた抗菌薬配合の点眼薬もあるため、それらでの治療を試みる。

だが、症状が相当悪化してひどい痛みがある場合や、詰まった脂が炎症を起こしてしこりとして残ったケースなどでは手術で取り除くことになる。

切除が最善策とは限らない

それでも、切除という選択肢が必ずしもよい結果を招くわけではないと味木医師は指摘する。

「いざ切除するとなると、麻酔をまぶたの表と裏にしてまぶたの表を切って縫ったり、裏を切って縫ったりします。でも術後に眼帯をして一晩たつと、皮下出血があって切る前よりひどくなり、時には「誰かに殴られたの? 」と思うぐらいにまぶたが赤く腫れ上がることもあります。手術ですから当たり前です。さらに皮下出血は、ひどいと2週間ぐらい残ります」

「なんとか明日のデートに間に合わせたいので切ってください! 」と急遽手術を依頼しても、結果的に元のままの方がよかったというケースもあるという。

「『切ってください』と言われても、例えば写真を撮るときには化粧でそのまま隠した方がいいときだってあるんです。特に霰粒腫は初期の腫れあがっているときや、傷口が化膿(かのう)する『化膿性霰粒腫』の状態のときよりも、コリコリしたしこりができたタイミングの方が麻酔も効きやすく手術がしやすいです。ものもらいをうまく治すには、適切なタイミングがあると覚えておいてください」

霰粒腫はすべて取り除ききれない可能性もあるそうで、そのような場合は肉芽腫(毛細血管と線維芽細胞から成る組織)として最終的に体内に吸収されるが、そこまでに一定の期間を要する。一方の麦粒腫は小さい皮脂腺の化膿なので薬で治りやすいが、場合によっては完治するまで半年ほどかかる場合もあるとのこと。「ものもらいなんて、手術をしたら一発ですぐにきれいに治る」などという発想は持たないほうが賢明と言える。

ものもらいは初期治療が重要

このように手術までするとなると、一気に厄介さが増すものもらい。それだけに初期の対応が肝要となってくるが、味木医師は「発症から2~3日で症状が改善しなかったら眼科に行った方がいいです。早いほうがいいので、『あれ? おかしい』と思ったらすぐ受診するのがベスト」と話す。「たかがものもらいで」などと思わず、場合によっては「転ばぬ先の杖」として受診を決断するようにしよう。

※写真と本文は関係ありません