食べ歩きにオススメ「丸焼きたこせんべい」

さて、先ほどの江ノ島の入り口まで戻り、青銅製の鳥居をくぐって「弁財天仲見世通り」を歩いて行こう。細い道の両側に老舗の旅館や様々な土産物を売る店などが建ち並び、江ノ島で最も活気があるエリアだ。この道沿いにある「あさひ本店」の「丸焼きたこせんべい」(税込350円)は、江ノ島を訪れる多くの人が食べ歩きをしている。同店は、休日は時間帯によってはかなりの行列ができるが、丸焼きたこせんべいは店頭で焼いているので、順番を待ちながら焼き上がるのを見るのも楽しい。

「丸焼きたこせんべい」(税込350円)は食べ歩きにぴったり

まずは大きさにもよるが、粉をまぶしたタコを2~3匹、丸ごと専用の機械でプレスしながら185度の高温でプシューっと焼き上げる。1回目のプレスでせんべいの形ができたら、裏返して、もう一度プレスしながら焼く。この2回目のプレスで水分を飛ばし、サクサクのせんべいができる仕組みだ。

丸焼きたこせんべいは、大きいので食べ応えも十分。タコのほか、クラゲやエビの丸焼きせんべいもある。

●infomation
神奈川県藤沢市江の島1-4-10
アクセス: 小田急片瀬江ノ島駅徒歩10分、江ノ電江ノ島駅徒歩12分
営業時間: 9:00~18:00
定休日: 木曜日

江ノ島の弁天さまをお参りして

仲見世通りを抜けると、巨大な朱色の鳥居と、竜宮城の入り口のような「瑞心門」が見えてくる。ここから「シーキャンドル(展望灯台)」のある島の頂上までは石段が続くが、もし足に自信がなければ「エスカー」という有料のエスカレーターも整備されているので、利用するといい。

江島神社鳥居の先にあるのが「瑞心門」

江島神社は、手前の辺津宮(へつのみや)、島の中程にある中津宮(なかつのみや)、島の西奥にある奥津宮(おくつのみや)の三社からなっており、頂上にたどり着くまでの間に辺津宮と中津宮がある。辺津宮の社殿の左隣にあるお堂「奉安殿」には、江ノ島のシンボルともいえる「妙音弁財天」がまつられている。この「妙音弁財天」は、一糸まとわぬ姿で楽器の琵琶を持つ、その艶めかしい姿から別名「裸弁天」とも呼ばれている。

「妙音弁財天」は「裸弁天」とも呼ばれている(写真提供:藤沢市観光協会)

シーキャンドルからの海の絶景を楽しむ

頂上まではゆっくり歩いても20分もかからない。頂上に着いたら。せっかくだから「江の島サムエル・コッキング苑(植物園)」内に建つ「シーキャンドル」に上ってみよう。展望室からは三浦半島に伊豆半島、茅ヶ崎沖に浮かぶ「烏帽子岩」、そして、江ノ島を取り巻く海をぐるっと360度見渡すことができる。

展望灯台のシーキャンドルからは、パノラマで景色が楽しめる

絶景を楽しんだ後は、島の西を目指して歩いて行こう。途中、江ノ島を東と西に二分する「山二つ」というスポットを越えると、間もなく江島神社の奥津宮に到着する。

カップルでこの場所を訪れたなら、ぜひとも立ち寄りたいのが「龍恋の鐘」だ。奥津宮からほど近い「恋人の丘」にある「龍恋の鐘」を鳴らした2人は決して別れないと言われており、周囲のフェンスにはおびただしい数の南京錠が取り付けられている。決して別れない(はずれない)ことを誓い合った愛の証なのだ。

「龍恋の鐘」のそばにはおびただしい数の南京錠が

帰りは遊覧船で、海からの江ノ島の眺めを楽しもう

奥津宮からさらに先に進み、石段を下りて行くと「稚児ヶ淵(ちごがふち)」と呼ばれるデコボコの岩場が広がっている。この地形は海蝕(かいしょく)台地といい、関東大震災のときに海に沈んでいた土地が隆起してできたのだそうだ。

この奥には「岩屋洞窟」という波の浸食によってできた海蝕洞窟があり、ちょっとした洞窟探検が楽しめる。「岩屋洞窟」は第一岩屋(奥行約152m)と第二岩屋(奥行約56m)からなり、先の方で富士山の洞窟とつながっているという伝説まである。

遊覧船「べんてん丸」で海からの景色を楽しむのもオススメ

さて、帰りは「稚児ヶ淵」と「江ノ島弁天橋」のたもとを結ぶ「べんてん丸」というミニ遊覧船に乗ってみよう。船上からは、普段なかなか見ることのできない島の裏側から江ノ島を眺めることができる。

特に船頭さんの話があるわけでもなく、解説の放送が流れるわけでもないが、この素朴な感じがかえっていいのかもしれない。およそ7分の短い船旅を終え陸側に到着すれば、今回の江ノ島旅はおしまいだ。

●infomation
べんてん丸
大人: 400円 小人: 200円(5歳以下無料、価格は税込)
※強風時・荒天時は運休

江ノ島の半日散歩プラン、いかがだっただろうか。江ノ島から鎌倉までは江ノ電ですぐなので、半日江ノ島散歩を楽しみ、残りの半日を鎌倉観光に当てるのもいいだろう。また、江ノ島には今回の記事では紹介できなかったが、天然温泉の風呂が自慢の旅館やスパ施設などもあるので、一泊してのんびり楽しむプランもオススメだ。

※記事中の情報は2016年5月時点のもの

筆者プロフィール: 森川 孝郎(もりかわ たかお)

旅行コラムニスト。京都・奈良・鎌倉など歴史ある街を中心に撮影・取材を行い、「楽しいだけではなく上質な旅の情報」をメディアにて発信。観光庁が中心となって行っている外国人旅行者の訪日促進活動「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の公式サイトにも寄稿している。鎌倉の観光情報は、自身で運営する「鎌倉紀行」で更新。