2015年5月大涌谷周辺の火山活動が活発化したことを受け、箱根(神奈川県足柄下郡)への足が遠のいた人もいるだろうが、同年11月には噴火警戒レベルも通常の1に引き下げられた。2016年4月23日には箱根ロープウェイの姥子駅から大涌谷駅間の運行が再開され、28日からは箱根名物「黒たまご」の販売も予定されている。そんな今、箱根で遊ぶなら何がオススメなのか、箱根湯本や塔ノ沢周辺を中心とした箱根町の"温泉だけじゃない魅力"を紹介しよう。

「函嶺洞門」は、「千歳橋」「旭橋」とともに国の重要文化財に指定された「国道一号箱根湯本道路施設」のひとつ。来訪する外国人を意識し、中国の王宮をイメージしたデザインがなされている。写真奥側には千歳橋、塔ノ沢温泉がある。手前が箱根湯本方面。画像提供: 箱根町役場

塔ノ沢温泉から箱根湯本までの約1km散策は造形美に注目

箱根は5月はつつじ、6月はアジサイと花の名所も多い。箱根一のつつじの名所、芦ノ湖畔に建つ「山のホテル」ではつつじ越しに眺める富士山の絶景で知られるが、塔ノ沢駅から徒歩20分のところにはアジサイで有名な「阿弥陀寺」がある。人気のハイキングコース「箱根旧街道」石畳ルートはこの季節、新緑に包まれひときわ美しい散策路となる。

あじさいで有名な「阿弥陀寺」は箱根登山鉄道鉄道の塔ノ沢駅から徒歩20分。画像提供: 箱根町役場

ハイキングは「箱根旧街道」石畳ルートが人気。画像提供: 箱根町役場

また、今話題のニューツーリズム「インフラツーリズム」では、2015年国の重要文化財に指定された「国道一号箱根湯本道路施設」の土木遺産を巡るまち歩きをオススメしたい。塔ノ沢温泉から箱根湯本に向かう国道一号線沿いにある「函嶺洞門(かんれいどうもん)」「千歳橋」「旭橋」は、いずれも昭和初期に高度な技術で建設された鉄筋コンクリート造の道路建造物だ。

函嶺洞門は昭和6年(1931)竣工、延長は100.9mで、来訪する外国人を意識し、中国の王宮をイメージしたデザインがなされている。現在、内部への立ち入りはできないが、タイドアーチ形式の単アーチ橋である千歳橋と旭橋とともに、その独特のフォルムを楽しんでほしい。

千歳橋は塔ノ沢駅を降りたところにある。延長25.5m。橋の袂には鯛ごはん懐石で人気の瓔珞がある。画像提供: 箱根町役場

旭橋は大正から昭和初期に多く建造された「鉄筋コンクリート造単アーチ橋」の中で国内最大橋長(38.5m)を誇る。この橋を渡れば、箱根湯本温泉の入り口「湯本橋」はすぐそこだ。画像提供: 箱根町役場

千歳橋から脇を流れる早川沿いに進み、旭橋を渡れば、箱根湯本の温泉街の入り口「湯本橋」はすぐそこだ。塔ノ沢温泉から湯本橋まで約600m、湯本橋から箱根湯本駅まで約400mと、距離的にはお気軽な散歩コースといったところだ。また、この土木遺産巡りにはそれぞれの始点・ゴール別に、パワースポットや絶品美食グルメの楽しみもある。なお、まち歩きには箱根湯本観光協会発行の温泉郷マップが便利なのでお供にしておくといいだろう。

「鯛ごはん懐石」でプチぜいたく

ご飯処としてオススメなのが、千歳橋の袂で早川や函嶺洞門の眺めも楽しめる鯛ごはん懐石の名店「瓔珞」。お祝い事や神事で重宝されてきた鯛を名物とした瓔珞の「鯛ごはん」は、箱根山の天然水を用いた昆布だしで米を炊き、赤穂の天然塩で焼いた鯛の身をほぐしご飯とともにいただく。

一番人気、季節の料理を盛り込んだ松花堂弁当、玉子豆腐の揚げ出し、赤だし、鯛ごはんをセットにした「松花堂 鯛ごはん」3,780円(税込)。松花堂には鯛の刺身、季節の料理など、一品一品吟味した絶品料理が並ぶ

一番人気の「松花堂 鯛ごはん」(税込3,780円)には、鯛のお造りのほか季節の料理、玉子豆腐の揚げ出しなど、一品一品吟味された料理が並ぶ。魚介は店から車で15分の小田原漁港から仕入れており、鯛ごはんはもちろん、鯛のお造りも絶品の美食グルメを堪能できる。器や料理の内容は季節ごとの楽しみもある。「鯛ごはん」のセットと同じく名物の「鯛茶漬け」のセットはランチのみの営業。なくなり次第終了となる。土日祝など込み合う時期は予約していくといいだろう。

鯛ごはんは鯛の形をした器で出てくる。赤だし、食後にはデザートもついている

そうは言ってもやはり箱根である。温泉も楽しみたいところだろう。続いては、温泉とともに愛らしい"マスコット"がいるパワースポットを紹介しよう。