グリーン車

仕事が忙しくて疲れているとき、あるいは残業が続き夜遅くしか家に帰れないとき。それでも家は遠い。そんなあなたは、ときどきは普通列車のグリーン車に乗ってはいかがだろうか。

JR東日本では、首都圏の中距離電車の多くにグリーン車を連結している。定期券を持っていれば、追加のグリーン料金を支払うだけで乗車することができる。もちろん、普通にSuicaやきっぷを持っている人でも可能だ。

車内でグリーンアテンダントに支払えば50キロまでなら1,030円(おとな・こども同額、以下同じ)のところ、事前にグリーン料金を支払っていれば770円と割引になる。事前に購入するのがおすすめだ。

首都圏エリアの快速・普通列車のグリーン料金(JTB時刻表より)

事前に購入するには、駅の券売機で紙のグリーン券を買うか、改札内にあるSuicaにグリーン券の情報を書き込むための装置を使用してグリーン料金を払うという二通りの方法がある。

後者を使用すると、座席上にあるグリーン券情報読み取り部にタッチするだけで車内改札を受ける必要がなく、落ち着いてすごすことができる。

普通列車グリーン車とはどんなところか

実際に普通列車グリーン車に乗車してみよう。筆者は、品川から大宮まで、上野東京ラインのグリーン車に乗車した。

品川駅の乗車ホームには、Suicaにグリーン券の情報を書き込むためだけの専用の券売機がある。そこでグリーン券情報を書き込み、やってきた普通列車のグリーン車に乗り込んだ。

グリーン券専用の券売機

席に座る前に、座席情報にあるグリーン券情報読み取り部にSuicaをタッチした。赤いランプが緑に変わり、これで車内改札を受けなくてすむ。席は、眺めのいい2階席を選んだ。席はリクライニングシートで、食事したり書類を書いたりするためのテーブルもある。

Suicaを持っているならば、タッチするだけで車内改札の代わりになる

走りだすと、車内は静かだ。グリーン車の車両にはモーターがついていないこともあり、揺れや振動がまったく感じられない。滑るように走っていく。浜松町あたりでは東海道新幹線と並行しているため、車窓に新幹線の車両を見ることができる。

東京駅につくと、少しばかり人が乗ってくる。ここからは急勾配になる。乗っていても上り勾配のきつさはよくわかるものの、スイスイと列車は走っていく。神田をすぎると、下り勾配になりスムーズに降りていく。

上野でさらに乗車。赤羽をすぎたあたりでグリーンアテンダントが飲み物や軽食の販売にやってくる。新幹線のようにワゴンを持った本格的なものではなく、少しばかりの飲み物とお菓子を、会社の中にやってくるヤクルトレディといった感じで手に持ってくる。

大宮駅につき、下車する。ここまでは770円のグリーン料金で済んだ。

グリーン車の活用法

仕事でつかれた人がのんびり帰るのに、グリーン車は便利だ。また、帰りながら仕事の続きをしなくてはいけない人にも、グリーン車はありがたい。

とくに、長距離の通勤をしている人ならば、グリーン車のありがたみは感じるだろう。普通の通勤電車で間に合う距離の人ならばあまり意味はないが、東京駅周辺の会社に通っている人ならば、大宮・取手・千葉・大船といった駅より遠くから通っていたら、ちょっと疲れたら乗るのもいいかもしれない。

電車の中で軽く缶ビールを飲みリフレッシュをするのもよし、会社内でできかかった仕事のまとめをするのもよし。本を読んで、仕事のために勉強をするのもいい。自宅とも、会社ともちがう第三のスペースとしての普通列車グリーン車。毎日、長距離乗って通勤している人は、ときどきは活用していただきたい。

著者プロフィール: 小林拓矢
1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。大学在学時は鉄道研究会 に在籍。鉄道、時事社会その他についてウェブや雑誌・ムックに執筆。単著『早大を出 た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に共著者として参加。

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