東京へと向かう私鉄のどこかの駅から、地下鉄に乗りかえ、あるいは乗り入れてどこかの駅で降り、何度も地下鉄を利用し、いつのまにか地下鉄にけっこうな運賃を払っていたのでは? と感じてしまう人も多いだろう。

とくに、いまでは交通系ICカードが普及し、運賃を気にしなくなっているため、1回のお出かけで地下鉄にいくら払ったのかを考えない人も多い。どこかの駅で降りて用事を済ませる程度ならそれほどの負担ではないが、3駅、4駅となると1回の運賃は少額であっても、結構な額になる。

そんな行動パターンの場合は、東京メトロの「メトロパス」もしくは都営地下鉄の「TOKYO探索きっぷ」を使うのがおすすめだ。

往復と乗り放題の組み合わせきっぷ

「メトロパス」は各私鉄の地下鉄への乗り入れ駅・接続駅までの往復きっぷと、東京メトロの1日乗車券を組み合わせたもの。京成・京王以外の各私鉄の駅で販売されている。

「TOKYO探索きっぷ」は、京王・東武・つくばエクスプレスの乗り入れ駅・接続駅までの往復きっぷと、都営地下鉄・都電・都バスその他の都営交通の1日乗車券を組み合わせたものだ。上記の鉄道会社各駅で販売されている。

たとえば、「TOKYO探索きっぷ」を京王線の調布駅で買うとしよう。1,090円になる(以下金額はすべて大人料金)。調布から新宿まで、交通系ICカードで片道237円、往復474円。紙のきっぷなら片道240円、往復480円。きっぷの上では、京王線の乗車券は2割引になる。が、それを無視して残り610円が都営交通の乗り放題分と考えていい。

都営大江戸線を利用した下町めぐりや、何度も都バスに乗らなくてはならない場合は、元がとれる。なお、都バスの初乗りはICカードで206円、現金で210円だ。都営地下鉄に乗り、何回か都バスに乗れば、十分元がとれる。

東京都心部の場合、東京メトロと都営地下鉄が地下鉄の事業者となっている。そのため、両方使えないという問題もあるが、こういう切符があることは知っておいてもいい。地下鉄線内で何度も乗り降りする必要があるなら、「メトロパス」もしくは「TOKYO探索きっぷ」だ。

地方からの上京者におトクな「Tokyo Subway Ticket」

一方、地方から上京して東京都内で用事や観光などをしたいという人のためにも、乗り放題きっぷがある。「Tokyo Subway Ticket」だ。はじめて改札を通ってから24時間、48時間、72時間使える3種類のものがあり、こちらは東京メトロ全線と都営地下鉄全線に乗車することができる。

このきっぷは関東地方各都県と山梨県では販売されておらず、旅行代理店で都内に向けた旅行商品と一緒に買うことが条件だ。クーポン券を東京メトロ各駅もしくは都営地下鉄主要駅の事務室、羽田空港の案内所に持って行くと、引きかえてもらうことができる。その他にも、東海道新幹線の「エクスプレス予約」を使用した人向けの引きかえ窓口もある。外国人観光客には他にも取扱窓口もある。

「Tokyo Subway Ticket」の料金は24時間で800円、48時間で1,200円。72時間で1,500円。改札を通ってからなので、午後に東京に来て使用を開始し、午前に使用を終えて東京から離れるといったパターンだと、最善のきっぷだといえよう。

駅の案内をよく見よう

その他にも、地方から都内までの往復きっぷと、都内やその近郊のJR各線の乗り放題を組み合わせたきっぷも多くある。そういったきっぷは、時刻表に掲載されていなくてもホームページに掲載されていたり、あるいは駅に掲示されていたりする。そういった案内を見落とさずに、かしこくきっぷを買っていこう。

また、東京メトロは24時間乗車券、都営地下鉄は都電・都バスを組み合わせた1日乗車券を出している。他にも、「東京メトロ・都営地下鉄共通一日乗車券」や、JRと東京メトロ・都営地下鉄乗り放題の「東京フリーきっぷ」もある。「往復+地下鉄乗り放題きっぷ」のない場合は、こちらの使用を検討しよう。

著者プロフィール: 小林拓矢
1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。大学在学時は鉄道研究会 に在籍。鉄道、時事社会その他についてウェブや雑誌・ムックに執筆。単著『早大を出 た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に共著者として参加。

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