2016年4月、2年に一度の診療報酬改定が行われ、医療サービスや薬の価格が変更された。お薬手帳やジェネリック医薬品を含め、薬を取り巻く環境に対する意識の変化を捉えるため、マイナビニュースでは今回、読者会員に対して薬に関する調査を実施した。今回の調査は、2016年3月25日から3月29日の5日間、全国の男女474名を対象に行った。

お薬手帳、「あまり使っていない」がトップ

お薬手帳の活用度について聞いたところ、「お薬手帳を持っているが、あまり使っていない」が35.2%で最も多かった(図1)。次いで、「薬局へ行く際は、お薬手帳を常に持参している」が30.2%、「お薬手帳を持っていない」が23.2%、「お薬手帳のことを知らない」が11.4%となった。お薬手帳を持っていて常に活用できているのは、全体の約3割に留まっているようだ。

男女別に見ると、お薬手帳保有者(「薬局へ行く際には、お薬手帳を常に持参している」もしくは「お薬手帳を持っているが、あまり使っていない」と回答した人)において、男女間で活用度に差があることが分かる。男性の場合、手帳を薬局へ常に持参する人の割合(32.6%)と、手帳をあまり使っていない人の割合(31.3%)は、かなり近い数値となっている。一方、女性の場合は、常に持参する人(27.8%)よりも、あまり使っていない人(39.0%)の方が多く、11.2ポイントの差が見られる。

図1:お薬手帳の活用度に関するグラフ(男女別)

本設問への回答を年代別に見ると、「薬局へ行く際は、お薬手帳を常に持参している」の割合が一番多いのは、40代(42.2%)であった(図2)。

一方、一番低いのは20代(19.0%)であり、全体の数値を引き下げている要因となっている。病気にかかる頻度の比較的低い20代の若者は、お薬手帳に接する機会が少ないと考えられる。このことは、20代におけるお薬手帳の認知度の低さ(「お薬手帳のことを知らない」の割合:21.1%)からも読み取れる。

図2:お薬手帳の活用度に関するグラフ(年代別)

なお、2014年の厚生労働省が発表した「平成26年度調剤報酬改定及び 薬剤関連の診療報酬改定の概要」では39歳以下の6割弱が活用しているという結果となっていた。 http://news.mynavi.jp/articles/2014/06/27/medicine/

本設問において、「薬局へ行く際は、お薬手帳を常に持参している」、「お薬手帳を持っているが、あまり使っていない」、「お薬手帳を持っていない」と回答した人に理由を聞いたところ、それぞれ以下のような意見が見られた。

「薬局へ行く際は、お薬手帳を常に持参している」理由(自由回答一部抜粋)

  • 抗がん剤治療や胃を摘出している事を知ってもらうため(42歳/男性/フリーター)
  • いろんなところでお薬をもらっているから(31歳/男性/その他)
  • 薬剤師や医師に併用薬歴を見てもらうと副作用の少ない飲み合わせを考慮してもらえるから(50歳/男性/その他/事務・企画・経営関連)
  • 記録して都度整理するため(40歳/女性/専業主婦)
  • 薬剤師がそれを見て色々と病気の面でアドバイスをしてくれるから(32歳/女性/その他)

「お薬手帳を持っているが、あまり使っていない」理由(自由回答一部抜粋)

  • 持っているがつい忘れるので出さないことが多い(54歳/男性/その他)
  • 持っていくのを忘れることが多いため、自然と活用することがなくなった(22歳/女性/学生)
  • 自宅近くの病院だったり会社の近くの病院だったりで手帳を持ち歩くのが面倒(29歳/女性/通信関連/事務・企画・経営関連)
  • 持ち歩くのは面倒なので、シールを発行してもらい、家で貼る(32歳/女性/食品/事務・企画・経営関連)
  • 体調が悪いときにそんなことまで気が回らないので(47歳/女性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
  • あらかじめ、病院へ行く予定がある時は用意するが、緊急で病院に行くと自宅に忘れる事がある為(36歳/女性/専業主婦)

「お薬手帳を持っていない」理由(自由回答一部抜粋)

  • 複数の薬を服用することがない(31歳/男性/建設・土木/営業関連)
  • あまり薬を飲まない(30歳/男性/フリーター)
  • お薬手帳が導入されてから病院のお世話になっていないので、入手する機会がなかった(38歳/女性/専業主婦)
  • 面倒だから(43歳/女性/建築・土木/事務・企画・経営関連)
  • そこまで頻繁に病院へ行かないし、常用している薬がないのであまり必要性を感じない(25歳/女性/食品/専門職関連)

お薬手帳の活用意向の高い層は、自分の薬歴を薬剤師に把握してもらい、副作用のリスクを下げることにメリットを感じていることが伺える。また、個人の記録として、お薬手帳を活用している例も多く見られた。

一方、手帳の活用意向の低い層は、手帳を薬局に持っていくことが面倒であったり、忘れてしまうことが多いようだ。なお、お薬手帳をもっていない層については、比較的若い年代が多く、薬の服用機会が少ないため、手帳の必要性を感じていないといった意見が多数見られた。