村上弘明、剛力彩芽、陣内孝則の3人が共演するテレビ東京系のスペシャルドラマ『松本清張特別企画「喪失の儀礼」』が、30日(21:00~23:08)に放送される。この3人は、昨年3月にテレビ東京開局50周年特別企画として放送された『松本清張「黒い画集-草-」』のメインキャストで、今回再び集結することになった。

再共演ということもあって、すっかり息ぴったりの3人。撮影の裏話を聞くと、食事シーンや役者同士のキャッチボールなど、見ている側には気づかない演技論を語ってくれた――。

(左から) 剛力彩芽、村上弘明、陣内孝則

――村上さんは、前作のキャラクターをデフォルメして演じられたそうですね。

村上 前作では彩芽ちゃんと親子関係を偽って、入院した病室でやり取りするという関係性でしたが、今回は上司と部下で最初から最後まで一緒。つかみどころのない刑事と、それをたしなめる新人部下というコントラストがうまく出ればいいなと思っていて、この"たしなめる"というのが前回なかった部分なので、より強調するために、つかみどころのないキャラクターをデフォルメしました。陣内さんも、最初の対面がぶつかり合うシーンで、衝撃的になればいいなと思っていたので、前回より過激な感じですよね。

――今回は"風変わりな刑事"ということで、刑事らしからぬ白いスーツという衣装はその象徴だと思いますが、そのアイデアはどなたから出たのですか?

村上 僕が「どうかな?」って提案したんです。最初は「刑事らしくない白っぽいもの」と言ったんですが、それを受けていろいろ出てきたものから、監督が「一番雰囲気的にいいじゃないですか」と言って選ばれたのが今回の衣装です。僕は「ちょっとハデすぎるんじゃないかな…」って思ったんですけどね。

――陣内さんが黒のスーツにコートだったので、対照的になりました。

村上 そうですね。良いコントラストになりましたね。

――剛力さんは別のドラマのコメントでご自身を「ドM」と表現されていましたが、今回、村上さんの役に対してはSでしたよね。反対の性格を演じてみて、いかがでしたか?

剛力 確かにドMなんですが、意外と臨機応変タイプなんです(笑) 実際に父親と仲が良くて、村上さんにもお父さんに「しょうがないなぁ」と言っている感じでした。上の意見を聞かないで捜査しても、ちゃんと事件の真相にたどり着いていくという部分で尊敬しているので、グチャグチャ言いながらも、ついて行っちゃうんですね。

村上 まぁ娘のような関係ですね。僕には実際に22歳の娘がいますから。

剛力 私は23歳になりました!

――ちょうどピッタリですね!

村上 MとかSの話だと、娘っていうのは父親に対して、だいたいSになりますよ(笑) しょうがないですよね。

剛力 実際にお父さんに言っている感じと、あまり変わらなかったです(笑)

―― 一方、陣内さんの役柄は、ドSの部類に入ると思うのですが、それが前作にも増して磨きがかかっているように思えました。

陣内 そんなことないですよ(笑) 僕は台本通りやったつもりです。前作の延長線上にあった役だったので入り込みやすかったですけど、芝居っていうのは相手あってのものだと思うんです。特に舞台をやっているとすごく感じるんですが、織田信長の役をやったときに、その怖さやすごみといったものを、いくら顔や動きでつけても、周りが畏怖(いふ)する気持ちを表現しないと、お客さんに伝わらないんです。やっぱり芝居っていうのはチームワーク、キャッチボールなので、今回も相性の良い3人組で、良かったなと思いますね。

――剛力さんは、つかみどころのない村上さん演じる大塚と、一匹狼の陣内さん演じる須田。どちらの上司がいいですか?

剛力 ん~最終的にどっちにもついて行っちゃうと思います(笑) 「後はよろしく」って言われたら、「もうしょうがないなぁ」って言いながらやっちゃう感じですね(笑)

『松本清張特別企画 「喪失の儀礼」』(テレビ東京系 3月30日21:00~23:08)
静岡・中伊豆や、東京・深大寺を舞台に、医師と医療メーカーによる癒着や、愛憎関係がもたらした、連続殺人事件に挑むサスペンス。村上が演じるのは、気になることがあると、とことん調べたくなり、上司も手を焼く静岡県警の刑事・大塚京介。陣内は、協調性に欠ける一匹狼という警視庁の刑事・須田浩平を演じ、剛力演じる大塚の部下・田村美咲は、この2人に振り回されながら、間に入って潤滑油になろうと腐心する。
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