アドバンス・レジデンス投資法人は2月16日、「J-REIT賃貸マンション物件ツアー」を実施した。このレポートでは、「J-REIT」とはそもそもどのようなものなのか、どういった物件が投資運用の対象となっているかを紹介する。

「J-REIT」って一体何?

そもそもREITとは?

「REIT(リート)」とはアメリカで誕生した「不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)」の略称。「J-REIT」はその日本版で、主に国内不動産に投資する上場投資信託を指す。通常の現物不動産投資との違いは大きく5つあげられる。

1. 最低取引額が現物不動産投資より安い
通常の現物不動産投資では、マンションや土地購入のため数千万円の費用がかかることも珍しくない。

一方、J-REITは「投資信託」の言葉のとおり、不動産投資法人が複数の投資家から出資金を集め、不動産を購入する。そして、購入した不動産から生じた家賃収入や物件の売買等の運用益を投資家に分配する。複数の投資家から資金を集めて投資するという性質上、最低取引額は現物不動産投資より安い。

J-REITの仕組み

2. 不動産登録税・固定資産税は投資法人が負担

現物不動産の場合、不動産登録税や固定資産税等は投資家本人が負担する必要がある。

J-REITでは、前述の税金を投資法人が支払い、残った利益を投資家に分配しているため、投資家が税金を支払う必要はない。また、利益を90%以上分配する限り法人税は非課税となっている。そのため、株式へ投資する場合と比べても、運用益における投資家への分配金の割合が高い。

3. 管理等を専門家に委託できる

現物不動産でも業者に委託することはできるが、個人でやろうとするとかなりの労力とコストがかかる。J-REITでは基本的に入居者の募集や物件の管理を専門家に任せる仕組みとなっている。

4. 売りたい時すぐに売却できる

J-REITは金融商品のため、売りたい時に売却できるというメリットがある。現物不動産の場合は、物件そのものの売却には時間がかかることが多い。

5. 収益が安定している

投資法人は複数の物件に分散投資しているため、収益が安定する傾向にある。現物不動産1物件に投資するよりもローリスクの運用と言える。

J-REITは不動産投資法人が上場している場合、「上場REIT」としてそのものに投資することができる。また、J-REITと他の金融商品を組み合わせた投資信託パッケージも用意されている。J-REITは利益が非課税となるNISA枠や確定拠出年金の運用商品として購入することも可能だ。

どんな不動産に投資しているの?

J-REITの運用資産は賃貸住宅にかぎらず、オフィスビルや商業施設、ホテル、物流施設など多岐にわたる。

アドバンス・レジデンス投資法人が扱っている賃貸住宅は、テナントが分散されていることから賃貸収入が比較的安定しているという特徴がある。一方、1物件あたりの投資額が少額のため、運用管理に手間やコストがかかるといったデメリットもあるという。

大塚駅・名門校そばの物件

ツアーでは、同社が東京23区内に保有する3つの物件を巡った。まず1棟目はJR山手線大塚駅や名門校として知られる巣鴨中学・高校近くの「レジディアタワー上池袋」。

「レジディアタワー上池袋」

特徴は高級感のある内装で、特に共用部はホテルのような印象だ。見学した居室は明るいフローリングでぬくもりを感じる作りだった。

ホテルのような内装が特徴

2009年に建てられた築7年の同物件は、一般的な不動産賃貸と同じように賃料や入居率が上がると投資法人の収入も増え、下がると収入が減る「パス・スルー型」契約形態。

賃貸戸数は472戸で1LDKが4割、2LDKが3割を占める。家賃は1LDKが16万円強、2LDKが19万~20万円前後となっている。

2015年12月時点での面積稼働率は95.1%。面積稼働率とは、実際に入居者がいる居室面積の合計を、物件における賃貸可能な面積の合計で割った値。面積稼働率が高いほど、運用効率が良い。出資者には、入居者からの家賃収入より必要経費等を引いた額が分配されている。