いよいよジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)が始まります。すでに口座開設の申し込みが始まっていますが、投資の開始は4月からです。慌てて口座開設する前に、ジュニアNISAのメリット・デメリットを理解しておきましょう。

年間80万円×8年間、最大640万円分の投資が非課税に

一般のNISAとジュニアNISAの基本的な仕組みは同じで、年間一定額までの投資に関わる売却益、配当、分配金にかかる税金が非課税になることが最大の特徴です。ただし、ジュニアNISA独自の制限がありますので、その点をまずは注意しましょう。おおまかなポイントは以下のとおりです。

  • 0歳~19歳の個人が利用できる

  • 1人1口座、1金融機関のみ口座開設できる

  • 投資対象は、上場株式、株式投資信託、ETF、上場REITなど

  • 投資期間中の配当金、分配金、売却(譲渡)益が非課税

  • 1年の投資額の上限は80万円。8年間買付可能

  • 非課税期間は最長5年。途中売却はいつでも可能

  • 非課税制度期間は、2023年(平成35年)まで

  • 18歳までは、払い出しができない

  • ジュニアNISA口座の運用管理は、原則として親権者が行う

教育資金としての利用促進のため、18歳までは払い出しができない

ジュニアNISAを利用する際に、気を付けたいのは、18歳まで(子どもが3月31日時点で18歳である年の前年の12月末=高校3年生の12月末)払い出しができず、その前に払い出しをすると、それまでの非課税特典がなくなり、配当金や分配金、譲渡益に課税されることになります。

これは、ジュニアNISAが子どもの投資教育という面もありますが、親や祖父母が投資資金を出し、子どもの進学や就職などの将来の資産形成をすることも目的であるためです。親や祖父母にとっては、贈与税非課税の年110万円の枠内で投資資金を子ども・孫名義にできるので、相続税対策になりますが、18歳までは払い出しができないので、途中で別の使用目的で資金が必要になってもジュニアNISAの口座からは引き出しができません。

ジュニアNISAは子どもの投資教育という面もあるが、親や祖父母が投資資金を出し、子どもの進学や就職などの将来の資産形成をすることも目的

この点が、ジュニアNISAを始める際には、よく理解してほしいポイントとなります。単純な相続税対策であれば、通常の基礎控除110万円の枠内で、贈与したほうが、子どもにとっても利用範囲が広く、使い勝手はいいと言えます。

ただ、毎年ジュニアNISAの口座で投資をしなければならない、満額の80万円でなければならない、ということではないので、1年のみ使う、2年のみ使う。ジュニアNISAには50万円投資をし、残り60万円は基礎控除として贈与する、というように、自由裁量で考えればよいでしょう。

子どもが20歳になったら、どうなる?

ジュニアNISAの場合、19歳まで利用できますが、20歳になると一般のNISA口座に移し替えなければなりません。現在、子どもの年齢が低ければ、フルに活用できますが、すでに子どもの年齢が例えば15歳であれば、あと5年しか使えません。

しかし、20歳の時点で一般のNISA口座は自動的に開設でき、さらに1年分の資産120万円分までは移し替えができます。仮に80万円投資をして、含み益がでている場合、120万円まではそのまま運用を続けられるということです。

また、20歳になる前に、非課税制度期間が終了(2023年)した場合は、子どもが20歳になるまでは、非課税のまま継続して運用を続けられます(継続管理勘定のロールオーバー専用)。この期間は、新規で投資をすることはできませんが、売却することは可能です。

口座開設にはマイナンバーが必要

ジュニアNISAの口座開設は子ども名義の証券口座が必要です。どこの証券会社でも口座開設できますが、1人1口座1金融機関となっており、一般のNISAのように金融機関を変更することは原則としてできません。また、口座開設には、子どものマイナンバーが必要になります。

上場株式での運用を考えているのであれば、証券会社によって大差はありませんが、投資信託は証券会社によって取り扱いが異なりますので、最初の口座選びは慎重に行いましょう。

人によっては、長期にわたって口座管理、運用管理が必要になります。せっかく子どもの教育資金、将来の資産形成のための仕組みですから、上手に活用できるよう、しっかりと内容を理解してから始めるようにしましょう。

<著者プロフィール>

伊藤加奈子

マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。