中国のお母さんたちは日本製のオムツをどのように受け止めているのか

「中国人の買い占めで紙オムツが売り切れ」というのは、ずいぶんと長く続く話題だ。日本在住の中国人が日本で購入した物品を中国に郵送する、個人による代理購入ビジネスが流行したことがその一因となっている。最近では中国のECサイトで越境EC(国際的な電子商取引)が流行しており、新たな日本製品購入ルートが開かれている。2015年11月11日(中国では同日、ECサイトの大安売りセールが開催される)、中国大手ECサイト「Tmall」での越境EC予約販売で人気を集めたのは、成都ではディオールの香水、北京ではドイツの牛乳、重慶では花王の紙オムツであったという。

日本製のオムツは、中国のお母さんたちにどのように受け止められているのか。お母さんたちの声を中国版ツイッター「ウェイボー」で拾うとともに、紙オムツ製品を製造・販売しているユニ・チャームに話を聞いた。

「うちの子のお尻が気に入った! 」

中国のお母さんたちは気に入ったオムツをずっと使い続けるというよりも、いろいろ試してみたいという傾向にあるようだ。中国版ツイッター「ウェイボー」にはこんな声があがっている。

「オムツってあっという間になくなっちゃう。パンパース、マミーポコ、ユニ・チャームは使ってみたから、次は花王を試してみよう」
「紙オムツは花王、ユニ・チャーム、パンパース、マミーポコ、嬰知愛(香港ブランド)を使ってみたけど、うちの子は嬰知愛がいいみたい」
「花王、大王製紙、ユニ・チャーム、うちの子のお尻は花王が一番好きだって」
「今回の安売りセールで12袋の紙オムツ(花王2袋、大王4袋、ムーニー3袋、マミーポコ3袋)を買った」

人気の一方で、横行する"偽オムツ"

このように、今では中国でもネット上などで日本から輸入した日本製紙オムツが販売されている。ではなぜ日本からわざわざ代理購入したり、実際に購入しに行ったりするのかというと、それは偽物があるからだ。

「ネットで買ったマミーポコが偽物だった」
「みなさん、ユニ・チャームの紙パンツを使ったことがありますか? これ、本物かどうか見てもらえますか? 前に買ったのと違う気がする(オムツの画像が添付されていた)」

ウェイボーでリンクされていた記事には、花王のメリーズについて、本物と偽物を見分ける方法が紹介されていた。生産番号の始まりの英文字で日本での生産地まで分かると紹介されているものもあった。 さらに、中国でも紙オムツは生産されているが、同じメーカーでも日本で製造された製品の方が良いと考えられている点もある。

「中国で買った紙オムツと、日本で買ったのは何が違うのって聞かれて、私もはじめは分からなかったけど、使ってみたら確かに日本の方がすっごくいい! なんでたくさんのママたちが日本のものを買うのか分かった」という報告もある。

粉ミルク事件以降、日本製商品の信頼高まる

メーカーは、中国での日本製オムツ人気をどのように受けとめているのか。オムツの製造・販売を行うユニ・チャームは「2008年に中国で起きた粉ミルク事件(注※)以降、中国で売っているものは安心できない、日本製が安全で安心という消費者が増えた」と分析している。さらに最近では、中国の所得水準が向上し、赤ちゃんにも高品質の紙オムツを使用する傾向が高まっているという。

これらの事情を背景に、同社では上海・北京・広州など中国全土に拠点を設け、商品の販売を実施。中国のオムツの売上高は「開示していない」とのことだったが、中国全体の商品の売上高は、同社グループ全売り上げの約2割を占める。担当者は「今後も市場の状況をみて、生産・販売拠点の増強を図りたい」とコメントした。

加えて、中国で偽者が横行している現状も認識しており、「中国行政機関と協力して偽者の取締りを実施している」と回答。「現在中国で急速に発展しているオンラインショップの監視も強化し、お客様が安心して弊社商品を購入できる環境づくりに取り組んでまいります」としている。

我が子のために様々なメーカーのものを試し、オムツの真偽を見分ける目を養う中国のママたち。子育てに一生懸命な姿勢はどこでも同じようだ。

注※中国で複数の会社が製造した粉ミルクにメラミンが含まれていた事件

※写真と本文は関係ありません