証券取引等監視委員会は、東芝に係る有価証券報告書等の虚偽記載について検査した結果、法令違反の事実が認められたとして、7日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

証券取引等監視委員会によると、法令違反の事実関係は以下の通り。

(1)継続開示書類

東芝は、一部の工事進行基準適用案件において、工事損失引当金の過少計上及び売上の過大計上を行ったほか、映像事業、パソコン事業及び半導体事業等の一部において、売上原価の過少計上、費用の過少計上などを行った。

これらの結果、東芝は、関東財務局長に対し、金融商品取引法第172条の4第1項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」以下の有価証券報告書を提出した。

  • 2012年3月期有価証券報告書(2012年6月22日提出)

  • 2013年3月期有価証券報告書(2013年6月25日提出)

(2)発行開示書類

東芝は、関東財務局長に対し、以下のとおり、金融商品取引法第172条の2第1第1号に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」発行開示書類を提出し、当該発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させた。

2010年12月9日、2009年4月1日から2010年3月31日までの連結会計期間につき、売上原価の過少計上等により、同期間における連結当期純損益が53,943百万円(百万円未満切捨て、以下同じ)の損失であるところを19,743百万円の損失と記載するなどした連結損益計算書を掲載した有価証券報告書を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同年12月15日、社債券を120,000,000,000円で取得させた。

2013年1月17日、重要な事項につき虚偽の記載がある2012年3月期有価証券報告書を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同年1月28日、社債券を30,000,000,000円で取得させた。

2013年5月24日、重要な事項につき虚偽の記載がある2012年3月期有価証券報告書を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同年5月30日、社債券を90,000,000,000円で取得させた。

2013年7月12日、重要な事項につき虚偽の記載がある2013年3月期有価証券報告書を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同年7月26日、社債券を30,000,000,000円で取得させた。

2013年12月5日、重要な事項につき虚偽の記載がある2013年3月期有価証券報告書を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同年12月11日、社債券を50,000,000,000円で取得させた。

課徴金の額の計算

証券取引等監視委員会は、上記の違法行為について金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、73億7,350万円とした。