正統派美人のルックスとスラリ伸びた手足。一目見たら引き込まれる美ぼうを持ちながら、「お笑いが好き」と熱っぽく語る気さくさもあり、モデルのみならず、タレントや女優としても順調なキャリアを積んでいる新川優愛。この秋から『王様のブランチ』(TBS系)の5代目MCに抜てきされるなど、ますます活躍のフィールドを広げている。ここでは彼女の芸能生活を振り返りながら、その魅力と未来を考えていく。
特筆すべきターゲットの広さ
新川が芸能界の世界に足を踏み入れたのは、小学校6年生のとき。子役のマネージメントで有名な芸能事務所・劇団東俳に所属して、レッスンを受ける日々を送っていた。活動が本格化したのは2010年。「ミスマガジン2010」でグランプリを受賞したほか、映画、舞台、CMに出演するなどメディア露出が一気に増加。私自身、新川に初めてインタビューしたのは水着グラビアをしていたこのころで、着実に男性ファンをつかんでいった。
翌2011年には、「ミスセブンティーン2011」に選ばれて専属モデルに。「股下80cmの8頭身美女モデル」として女子中高生たちの人気者になった。一方、女優としても昼ドラ『明日の光をつかめ』(フジテレビ系)シリーズにレギュラー出演し、主婦層の認知も徐々にアップ。その後も順調に連ドラ出演を重ねたほか、今年5月には『セブンティーン』を卒業して『non-no』の専属モデルにスライドするなど、さらに女性のファン層を広げた。
新川の魅力を探る上で特筆すべきは、ファン層の広さ。少年誌のグラビアで男性ファンを、ファッション誌で女性ファンを、ドラマと『王様のブランチ』で一般層のファンを獲得するなど、年々支持層を広げてきたことがわかる。そもそも子役出身である上にグラビアも経験しているという点で、その他の“モデル系女優”とは一線を画す表現力を持っていると言っていいだろう。
スター候補生の中で際立つ存在感
新川の女優業が開花したきっかけは学園ドラマ。2012年には『GTO』(フジテレビ系)、2013年には『35歳の高校生』(日本テレビ系)、2014年には『夜のせんせい』(TBS系)『水球ヤンキース』(フジテレビ系)に主要キャストで出演するなど、このところめっきり減った「学園ドラマの大半に出演している」と言っても過言ではない。さらに映画『今日、恋をはじめます』『アオハライド』にも出演するなど、学園モノのキャスティングでは必ず名前が挙がる存在となっている。
各芸能事務所のスター候補生がそろった他の生徒役と並んでも、スタイルの良さは歴然。新川の隣に並ぶのをためらう同世代の女優もいるそうで、特に『水球ヤンキース』で見せた水着姿の脚線美には絶賛の声が集まっていた。新川は来月で22歳になるが、あと数年は高校生役のオファーがあるだろう。
ただ、今年は『銭の戦争』(フジテレビ系)で金融会社の受付、『恋仲』(フジテレビ系)で研修医を演じるなど、実年齢以上の社会人役も増え、大人の魅力を見せつつある。もちろん、現在放送中の『青春探偵ハルヤ』(日本テレビ系)で演じている女子大生のような年齢相応の役も問題なし。明るく正直な優等生から、クールな美女、暗い影を持つ悪女まで、役柄の守備範囲は広がっているだけに、いつ連ドラ主演のオファーが来ておかしくない。
穏やかな笑顔の奥に潜む芯の強さ
新川は情報番組やバラエティ番組へのゲスト出演も多く、穏やかながらもノリのいい姿を見せている。しかし、実際はニコニコ笑っているだけではなく、胸の奥に熱いモノを秘めているタイプ。実際、小学校2年生のときに「有名になりたい」と思いはじめ、4年後の6年生で「両親に『劇団に入りたい』と訴えた」というエピソードは、芯の強さを物語っている。
先日の『王様のブランチ』の新MC就任会見でも、「まずは自分が楽しむことを意識して、楽しんでいる姿をみなさんに発信したい」と堂々のコメント。続けざまに「自分だからこそ言える、20代前半だからこそ思う感想を出していけたら。(前任の)本仮屋さんとは違った意見を出したい」と宣言して大物ぶりを見せつけた。さらに、放送スタート後は、その宣言を忠実に実行。例えば、ブックコーナーで感想を求められたとき、自分の言葉を伝えようとするあまり、言葉に詰まってしまうほどの熱い姿を見せている。
かつて夢を聞かれたとき、「ビッグになりたい」と言い切ったという伝説を持つ新川。今年の勢いを見る限り、どこまで大きな存在になっていくのか、想像もつかない。
■木村隆志
コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴する重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。