このところクラフトビールの専門店が増え、人気を博しているが日本のクラフトビールの草分け的存在といえば、埼玉・川越発の「COEDOビール」をおいてほかにないだろう。そのCOEDOビールの"原点"であるごく小さな醸造所「1000ラボ」を併設するコンセプトレストランが6月下旬、リニューアルオープンしたという。どんなCOEDOに出合えるのか、ちょっと体験してみた。

COEDOビールのコンセプトレストラン「香麦―Shang Mai」。この裏にCOEDOビール原点である小さな醸造所がある

小江戸・川越の特産を活かした地ビール

ビールといえばのどごし命。ごくごく、ぷは~っというのが最高! という人も多いだろう。もちろんそれも大きな楽しみ方のひとつだが、じっくりと深い味わいを堪能するのもまた一興。そんなビールの奥深い楽しみを教えてくれるのが、歴史的な街並みを今に残す「小江戸」こと川越で、「地産のもので街の特産を」という願いから生まれたCOEDOビールである。

麦の種類が違えば味わいものどごしも全く別のものに。それがクラフトビールのおもしろいところ

ビールとは"ホップと麦で作るもの"というイメージが強いが、実はさまざまなものを利用して作ることができる。例えば、COEDOビールには川越の特産品であるサツマイモを用いた「紅赤」もあり、今では味わい深い6種類のビールを展開している。

ドイツからブラウマイスターを招聘し、本格的かつ伝統的なビール造りにこだわっているだけあり、ビールはビールでもそれぞれ味も性格もかなり違う。特徴があるがゆえ、オーストラリアやヨーロッパのアワードで数々の賞を獲得し、いまや日本だけでなく海外へも輸出される"日本のクラフトビール代表"的な存在になっている。

作り手も川越出身の人ばかり。地元を盛り上げる

ここだけの、今だけのビールも

そのCOEDOビールの醸造所「1000ラボ」を併設したコンセプトレストランは、「小麦市場」という名でイタリアンを提供していたが、6月下旬に本格的な広東料理の店「香麦―Shang Mai」へと生まれ変わった。香麦へのアクセスは、JR川越線「川越駅」より東部バスに乗り換えて 「福田」で下車し、そこから徒歩3分となる。

ラボではさまざまなフレーバーのビールが造られているが、中でもその季節にあった美味なものを1,000L限定で提供するという季節限定のビールもある。もちろん、この店でしか味わえない。

これだけ新鮮なCOEDOビールがいただけるのは日本では香麦だけ!

その第1弾として7月には山椒とレモンを用いたさっぱりきりりとしたビール「CX Golden Ale」がサーブされ、第2弾として10月中旬に「Saison Farmhouse Ale」が登場する予定だ。今のところ醸造中とのことで、発売日、価格ともに未定。しかし、商品説明には「霞がかったイエローゴールドに、柑橘とかすかな花のアロマ。そこにセゾン酵母のクローブなどのスパイス感と濡れた大地を感じさせるフレーバーが重なります」とあり、こちらも期待値大である。

季節限定のビール第1弾として7月に登場した「CX Golden Ale」

フルーツやスパイスなど意外な素材から作られるビールの味わいは奥深く、じっくりゆっくり堪能するのがオススメだ。ちなみに、香麦ではほかの5種類のレギュラーメンバーもケグから直接注がれる、ものすご~っく新鮮な生ビールだ。

ビールで"ペアリング"を楽しむ

そしてもうひとつ、ここへ来たらぜひともトライしてほしいのが"ペアリング"だ。フランス料理店などではおなじみの、料理ごとにそれに合ったワインを少しずついただくことだが、ここではビールでペアリングを行う。

香麦ではグラスをミニサイズから展開しているので、注文した料理に合わせてビールを注文することができる。例えば、先述のビール「CX Golden Ale」には「担々麺」(900円)という風に、どの料理にどのビールが合うかは店員に聞いてみれば教えてくれる。もちろん、ひととおり全部飲んでみてから自分でマッチングを見つけてみるのもおもしろそうだ。

単品のほか、本格的な広東料理のコースもある。前菜からデザートまでの7品に飲み放題がついて5,200円で、これに1,000円をプラスすると、季節限定ビールも含め全種類のCOEDOビールも飲み放題になる。

本格的な広東料理をコースで。接待にも喜ばれること間違いなし!

COEDOビールのラボでは常に多くのビールを製造している。自分のお気に入りや究極の味を求めて、足しげく通いたい。

※記事中の情報・価格は2015年7月取材時のもの。価格は税別