JR北海道は10日、留萌本線留萌~増毛間の鉄道事業廃止について発表した。この中で留萌本線の沿革や現況なども説明されている。

留萌本線輸送密度の推移を示すグラフ

留萌本線留萌~増毛間付近の路線地図

留萌~増毛間は1921(大正10)年に開業し、これによって現在の留萌本線(深川~増毛間)が全通した。当時は留萌港からの石炭、木材、海産物の積み出しが盛んで、それらの物資の輸送で栄えたという。だが、石炭産業の衰退とそれにともなうによる沿線過疎化、自動車の普及により鉄道需要が落ち込み、1978(昭和53)年には貨物輸送が廃止された。1980(昭和55)年には急行列車も営業廃止となった。

今回、廃止が発表された留萌~増毛間はとくに利用が少なく、1日あたりの利用人数を示す輸送密度は2014年度で39人、1列車あたりの利用人数はわずか3人しかいなかった。これは、JR北海道発足時の1987(昭和62)年度から12分の1以下に減少したことを示す。収支状況も悪く、2013年度でみると700万円の営業収入に対して経費は25倍近く要していると推計され、年間約1億6,000万円以上の赤字になっているという。

加えて、留萌本線は地質的特徴によって災害が多く、とくに箸別~留萌間では融雪期に斜面から線路に流入した雪や土砂による脱線事故が過去2度にわたって発生。その他にも大雨による土砂崩れがたびたび発生しており、「将来にわたって安全を確保するためには数十億円に及ぶ多額の防災工事費が必要」(JR北海道)になるという。

一方で、留萌~増毛間を並行する路線バスが鉄道よりも多い1日22本を運行しており、沿線住民の足として定着している。これらを踏まえて社内で検討を重ねた結果、鉄道の維持は困難との結論に至ったとしている。