東京から通う価値ありのイタリアン

川原町には岐阜に来たら絶対に立ち寄りたいと思う美食レストランがある。とにかくいつ行っても期待を裏切らないおいしい料理を食べさせてくれるのが「ラ・ルーナ ピエーナ」だ。

川原町の町屋の古い町並みに溶け込む「ラ・ルーナ ピエーナ」。背後に見えるのは山頂に岐阜城を頂く金華山だ。ツブラジイの花が咲く5月上旬、全山が黄金色に染まるのを窓から見ることもできる

川原町の古い町並みに溶け込む洋館はレストランウエディングでも人気で雰囲気も接客も素晴らしいが、とにかく地元食材、旬のおいしさを繊細な料理と演出で目でも舌でも楽しませてくれる。県外からも通う客が少なくないというが、東京からでも通いたいイチオシの美食レストランだ。ランチコースは2,900円~、ディナーコースは5,000円~となっている。

ラ・ルーナ ピエーナの店内。燻竹を使ったインテリアで、窓際の席からは金華山や岐阜城も見える

いつ行っても期待を裏切らない料理。地域の食材や旬のおいしさを詰め込んだ一皿を提供しており、この日の前菜は鮎だった

このほかに、川原町には元ホテルオークラの料理長が営む中華料理の「ル シノワ かわで」や鮎料理と土産の「泉屋」、長良川を一望する創作和食の「文化屋」など、雰囲気ある美食レストランが多い。

伝統の町屋にて伝統工芸や至極の1杯

また長良川温泉では、とにかくこの蔵カフェ「川原町屋」でまったりしたい。ここは岐阜提灯や美濃和紙などを扱う岐阜の伝統的工芸品製造本舗の安藤商店本店が運営しており、表の町家には「水うちわ」や和小物の店があり、奥に進むと蔵を改造したカフェがある。

「川原茶屋」の目印はこの丸ポスト

川原茶屋には、岐阜の伝統工芸・岐阜提灯や旅の記念に購入したい「水うちわ」などの和雑貨がそろう。水うちわは高級品だが、その姿はとにかく美しい

カフェ1階にはグランドピアノも置かれ、コンサートが開催されることもある。2階席はさらに隠れ家的だ。雪の降る日など、ここにこもって小説などを読みふけるのもいい。ランチも充実している。

蔵カフェ「川原町屋」の2階に様子。ただまったりするだけでも十分癒やされる

「川原町屋ブレンド珈琲」(500円)は自家製クッキーとともに

また、最後にオススメしたいお土産を一品付け加えておく。それが、川原町のこの町家店舗でのみ売られる「後藤養蜂園」の岐阜産はちみつだ。実は、岐阜県は近代養蜂発祥の地と言われている。この店は2013年3月にオープンしたが、店番をするのは養蜂に取り組む息子を応援するお父さんだ。混じりけなしの岐阜蜂蜜(300g/800円~)は味見もさせてくれる。

後藤養蜂園の店頭。店に入って味見をしたり、お父さんと川原町の話をするのも楽しい

長良川温泉、中でも川原町は都市の中にありながら、美食と極上の時間を提供してくれる。隠れ家にしたい、おこもり温泉No.1だ。東京に疲れたらぜひ一度足を運んでほしい。

※記事中の情報は2015年7月取材時のもの。価格は税込

筆者プロフィール: 水津陽子

フォーティR&C代表、経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、企画コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。著書に『日本人がだけが知らないニッポンの観光地』(日経BP社)等がある。