JR北海道は4月3日に青函トンネル内で発生した特急「スーパー白鳥34号」の発煙トラブルについて、モーターへの電流を制御する装置が機能しなくなり、モーターに過電流が流れ込んで発熱したことが原因とする調査結果を発表した。

特急「スーパー白鳥」

同社の説明によれば、発煙トラブルが発生した5号車の「前進指令スイッチ」が切れていたため、モーターへの電流を制御する主変換装置は車両が後進すると判断。実際には前進したため、主変換装置はモーター回転数を検知するセンサー(パルスセンサー)がすべて故障したと判断。適正に電流を制御できなくなり、基準より大きな電流を流したという。

調査により、特急「スーパー白鳥34号」が函館運輸所から出区する際、指導員が見習い運転士に「前進指令スイッチ」が切れていた際の運転席の表示を見せるため、トラブルがあった車両の前進指令スイッチを「切」とし、そのまま前進させていたことがわかった。乗務員訓練で操作した機器の復帰時期について、明確なルールはなかったという。

過電流を検出して電流を絶つ保護装置も備えられていたが、保護動作が作用するレベルにまでは電流が流れず、結果として加速に必要とする以上の大きな電流がモーターに流れ続けることに。このため、行き場のない電流が熱に変換されてモーター冷却用の空気が高温となり、配線を焦がすに至ったという。

今回のトラブルを踏まえ、JR北海道は今月末までに同一システムの主変換装置を搭載した車両(789系8両、785系6両)の改修を行うと発表。すべてのパルスセンサーが故障したと主変換装置が判断した際は、強制的に主変換装置の電源を切り、モーターへ流れ込む電流を遮断するシステムに改める。