綿矢りさの同名小説(河出文庫)を実写化した連続ドラマW『夢を与える』が、WOWOWで5月16日から放送される。本作は、華やかな芸能界を舞台に、スキャンダルに巻き込まれていく母娘を描いたスキャンダラスな物語。幼少期に芸能界入りした主人公・夕子が、やがてスターの座に上り詰めるも、ある事件をきっかけに転落していく様を描いた内容で、監督を犬童一心が務めている。

芸能プロダクションやCMクライアント、広告代理店、テレビ局の人々の欲望の渦に巻き込まれ、世間イメージとのギャップに悩んだ末に恋愛にのめり込んでいく夕子を演じたのは、小松菜奈。昨年、全国公開された映画『渇き。』で第38回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、モデルから女優としての階段を上りつつある小松に、体当たりで演じた夕子への想いや撮影の様子を聞いた。

小松菜奈
1996年2月16日生まれ。東京都出身。O型

――夕子を演じるにあたり、台本を読んだ感想を聞かせてください。

『夕子はこれからどうなるのかな?』とすごく心配になりました。親や恋をした人に裏切られることは、想像を絶するほど辛いと思う。誰も信じられなくなっていく感情が描かれていて引き込まれました

――小松さんも夕子と同じく芸能界で活躍していますが、共感する部分はありましたか?

毎日色んな人に会って精神的にタフな仕事なので、言葉に出来ない想いや逃げたくなる気持ちに共感しました。演技にしても、感情を爆発させて怒ったり、笑ったり、1日の中でも感情が全然違うので、女優は大変な仕事だと思います。夕子の場合は、思春期や反抗期を迎えて感情に左右される年頃なんですが、私も経験したことなので気持ちは理解できました

――自身と重なる部分があるからこそ、演じていてやりやすかったのでしょうか?

私は夕子のように怒鳴ったりしないで、拗ねて黙るタイプなので感情的には大変でした。クライマックスのところで長ゼリフがあるんですが、今までで一番すごく緊張して。『これ私がやるの? 乗り越えられるかな?』と考えるだけで不安で眠れなくて、感じたこともないプレッシャーが襲い掛かってきました。しゃべり始めると落ち着いて演じることができたけど、涙と鼻水がいっぺんに出ちゃいました(笑)

――夕子の母親・幹子役は菊地凛子さんが演じています。

凛子さんは、あんまりしゃべらない方なのかなと思っていたけど、サバサバしていてお茶目ですごく面白いことを言ってくれる。『自分は5歳児なんだ!』って言ったりして、可愛らしくてすごく魅力的な人だなと思いました

――幹子は、娘に夢を託す熱血的な"ステージママ"のような存在でしたね。

私だったら、うっとうしくてずっと反抗してると思います(笑)。私の場合は、小6の時にスカウトされて事務所に入ってから、スケジュール管理もずっと1人でやっていたので、"ステージママ"が新鮮でしたね

――では、スキャンダルで転落していく様を演じた感想をお願いします。

結局は、みんな自分のことばかりなんだなと思いました。人気になると、乗っかってくる人や言い寄ってくる人もいるし、"夢を与える"という芸能界がリアルに描かれていると思います。一人の女の子の成長が描かれているけど、共演者一人ひとりのお芝居も迫力がある作品です

――ちなみに、夏帆さん演じるミイ羽のような芸能界でのライバルまたは友人はいますか?

普段から仲が良いモデルのemmaです。お互いに、『何が決まった!』とかお仕事の話をしていると、私も頑張らなきゃと思ったり、良い刺激をし合える友だちです。私は負けず嫌いなので、そういう人が近くにいるからこそ、頑張ろうと思ったりできる大切な存在です