――今改めて『電王』当時を振り返ると、中村さんにとって桜井侑斗とはどんなキャラクターでしたか?
最初はツンデレの部分が多かったと思うんですけれど、終盤へ向かうにつれて、愛理さんとの儚さや切なさが強調されていったキャラクターでした。ただ、当時を振り返ると、良太郎と侑斗、僕にとってどちらが演じやすいかと言えば、これはもう圧倒的に良太郎だったんです。自分の素の部分と演じる"キャラクターの近さ"という意味では。
――どちらかと言えば、中村さんの素は良太郎に近いと?
そうです。おそらく、素の部分で言えば逆なんです。(佐藤)健くんが侑斗で、僕が良太郎(笑)。健くんは年下ですが、僕の方がドジで不器用な部分があったので。例えば当時の舞台あいさつでは健くんの方が冷静で、健くんが僕をカバーするという本編と逆の現象が起こっていました(笑)。クールな一言をズバッと入れてくれたり。健くんの苗字は佐藤だから(イニシャルの)S、僕は中村でN――現場では「磁石」って呼ばれていましたよ(笑)。本当に対極というか、まったく逆だったんですよね。
――お二人とも役の印象がかなり強いので、これは驚きですね……。
僕の素の部分から考えると、コミカルというかおちゃらける部分はやりやすかったです。侑斗のツンデレでいうなら"デレ"の部分。だから、デネブとのやりとりはすごく演じやすいし、デネブが憑依した侑斗もそうです。ただ、侑斗にはデネブしか相方がいなかったことに加え、デネブ人気がどんどん上がっていったので、なかなか僕に憑依してくれなくなる(笑)。良太郎は毎回憑依されているのに、僕の横には常にデネブがいるという状況が出来上がるわけです(笑)。良太郎とイマジンの間柄とはまた別の、特殊な関係性でしたね。ニコイチみたいな。
――そうした『電王』当時のお話がある中で、今回の撮影では、すぐに桜井侑斗というキャラクターを取り戻すことはできましたか?
カメラの前に立って撮影ということ自体が3年~4年ぶりだったので、もう桜井侑斗どころか、現場や撮影自体にまず緊張してしまう状態でした。最初は、現場感を取り戻すことで精いっぱい。僕は緊張しやすいタイプなので……。クランクインから一番最初の撮影がラストシーンで、役作りの前に、進之介をはじめとしたドライブチームとどこまで分かり合っているのか、侑斗の立ち位置はどうか――みたいな状況把握を一番考えていました。
――となると、撮影が進む中で、どのあたりでご自身の中に侑斗が帰ってきたのでしょうか。
そこはやっぱり、最後の最後でデネブとの戯れ合うシーンですね(笑)。ああー侑斗だな、これ侑斗だなって(笑)。
――(笑)。シイタケ……。
「最初に言っておく。シイタケだけは入れんなよ!」ですね(笑)。デネブのスーツアクターも当時のまま押川さんだったので、本当に自然に入ることができました。それこそ撮影前は、『電王』当時から8年近くも経っているので、デネブとの絡みも大人っぽく変えてみようかとも思いましたが、いざ撮影が始まると当時のままです。一気に蘇ってきます。
――なるほど。そういえば今回の侑斗は、『電王』当時から時が経っている設定なのでしょうか?
実は、最初にプロデューサーさんとお話して、『電王』当時から時が経過している侑斗をイメージしていました。なので、衣装合わせの時、一か八かでヒゲを生やしたままで行ってみたんです。