三井デザインテックは12日、東京・内幸町で顧客向けレセプション「Mitsui Designtec ~Reception 2014~」を実施。同イベントでは、毎年アメリカ・シカゴで開催されるオフィス家具の世界最大級の展示イベント「Neocon(ネオコン)」から、今年のトレンドや新しい働き方などが紹介された。

オフィス家具の最新トレンドは「集中」と「多様性」

三井デザインテック ソリューション推進部 マーケティング推進室 マネジャー 大川貴史氏

プレゼンターの三井デザインテック ソリューション推進部 マーケティング推進室 マネジャー 大川貴史氏によると、今年のキーワードは「集中」と「多様性」だという。働く人同士のコミュニケーションが重視され、フリーアドレス制やオープンスペースを導入する企業が増加している昨今。「集中」というと、近年の傾向とは逆のように思われるが…。

大川氏「ワーカー同士のコミュニケーションが重要視された結果、フリーアドレスの導入など、働く場がよりオープンになっています。その反面、ワーカーが集中して業務や、打ち合わせを行える空間が減少しているのです。こうした状況を背景に、オフィス内にワーカーが軽くこもれる『プライベート性を確保できる家具』が多くのメーカーから出展されています」

オフィスのオープン化が進む中、個人スペースが縮小していくというのは、多くの会社に見られる傾向だ。執務空間が4割で、残りの6割はオープンスペースという企業も増えているという。アイディアを生み出す上でのコミュニケーションの重要性は周知の事実であるものの、企画書作成など、時には1人で集中して仕事を片付けたいというときもあるだろう。そのようなときに、「自分だけのスペース」を確保できる家具は重宝する。

同社による「オフィスに求める空間調査」でも、「集中して作業を行いやすい空間」が「会話・雑談、相談のしやすい執務空間」に次いで求められているという傾向が明らかになっている。オープンな空間が普及した結果、クローズドな家具が重宝されるという現象は当然のことといえるかもしれない。

軽くこもれる「セミプライベート」な家具が多く出展

ワーカーの多様性に対応した家具とは?

続いて2つ目のキーワード、「多様性」について大川氏は次のように語る。

大川氏「職種、仕事内容、価値観など、現代の働き方は非常に多様化してきました。そのため、それぞれのワークスタイルに細かく対応できるオフィスが必要となってきています。例えば、コーヒーを片手にソファでくつろぎながら柔軟な発想を求めるカジュアルなディスカッションを行うスペースや、あるいは、短時間で活発な議論ができるようなミーティング用のハイカウンターテーブル、長時間の座ったままの姿勢を変えることができる昇降機能付のデスクなどがその1例です」

昇降機能付きオフィスチェアは日本中に広く普及したが、高さを変えられるデスクはまだ広まっていない。「高さを変えられる」ということは、座った状態だけではなく、立った状態でも仕事ができるということ。「昇降機能がついてても使わないのではないか」とも思う人も多いだろうが、高さを変えられるデスクを導入した企業の中には、「社員の8割が1日に1度はデスクの高さを変えている」というところもあったという。また、立ったり座ったりと姿勢を変えられるので、1日中座りっぱなしよりも健康的であるという点も、トレンドの一因となっている。

昇降機能付きデスク。立ち作業の高さにも合わせられる

大川氏「色やデザインについても、従来の無機質なものではなく、カジュアルで楽しくなるような家具や、働き方に合わせて組み替えられたり、動かせたりできる家具なども多く見られるようになってきました。ソファーやハイカウンターなど、家のリビングにあってもおかしくないもの、リラックスできるデザイン家具も増えています。カラーのトレンドは『ブルー』と『ストライプ』です。昨年はイエロー系統が主流だったのですが、少し落ち着いたカラーのものが人気のようです」

ワーカーの個性を表現できるシステムデスク

トレンドカラーはブルー

大川氏によると、グレーや白を基調とした「いわゆるオフィス家具」だけでなく、カラフルでデザイン性の高いものが増えているという。オフィスを単なる「仕事の場」とするのではなく、1日の多くの時間を過ごす「生活の場」として考える企業が増えた結果が今年のトレンドに反映されているのである。

カジュアルで楽しくなるようなデザイン性の高いオフィス家具も増えている