――ちなみに岡田さんが一番気に入っているキャラクターは?

岡田氏「原作を書いているときは、板橋ゲッコウと目黒マサカズだったんですけど、とにかく書きやすいキャラでした。ただ、実際に書き上げてみた現在、一番印象に残っているのはズシオウマルですね。原作では犬ですけど(笑)。この小説に出てくる人物は、もれなくおかしな性癖だったり、悪い人だったりしますが、唯一ズシオウマルだけはまともな性格をしています」

――犬が一番まともというのも面白いですね

岡田氏「そういう意味でも一番のお気に入りになっています。あと、中央アタル、品川ゼロ、足立シヲリというキャラクターは、書いている途中で行った読者人気投票でトップ3になったので、連載中に露出度が上がったりしています」

――読者人気によって露出が増えたんですね

岡田氏「書いているときはあまり意識していなかったのですが、意外とその3人が人気でした。実は登場人物のほぼ全員にモデルがいるんですよ。キャラクターによって、ルックスだったり雰囲気だったり、口癖だったりするんですけど、芸能人や海外セレブ、友人、同僚などから小さなタネをもらってきています。ただ、その中でユウガとエイアだけはモデルがいない。完全にオリジナルなんですよ。そんな2人が後々、映画やコミックでメインのキャラになっているというのはちょっと面白いなって思いました」

――原作でも最初に登場するあたりはちょっと主人公っぽい感じがします

岡田氏「そう言われることもありますが、僕自身はまったく意識していませんでした。この作品を書く3~4年前に、遊びで書いた作品、人様にお見せできるようなレベルではなく、本当に落書きを書くような気持ちで書いた作品があったんですけど、それをそのまま本作に持ち込んだのが、エイアとユウガのストーリーの雛形になっています」

幅広いメディアミックス

――映画はもちろん、コミックになったり、文庫小説になったりと、幅広い展開が行われていますね

岡田氏「最初からドラマになればいいなと思っていたので、映像化は期待していたところですが、コミック化は少し意表をつかれました。その上、僕自身の期待を上回る内容を提供していただけたので、本当にただの一ファンとして楽しませていただいています。本当に作り手として刺激を受けることばかりで。テンポ感などはすごく勉強になりました」

――さらなる創作意欲が湧き上がったりもしましたか?

岡田氏「実際、映画のお話をいただいたころに続編を出させていただいたのですが、ちょうど原稿を書いている頃に現場を見学させていただいたりしていたので、内容的には直接関係はないのですが、雰囲気などが新しいモチベーションに繋がったと思います」

――今後、岡田さんはどのような活動をなさっていく予定ですか?

岡田氏「まず、"岡田伸一"という名前をブランドにしていきたいと思っています。ストーリーを書くこと自体が僕の長所だと思っていて、アイデアやストーリーラインはほかに負けませんという気持ちでやらせてもらっているので、本当に0から100まで、草稿から映像作品まですべてに関われる法人としてやっていければいいなと思っています」

――今回の映画化によって、映像作品にも関わっていきたいという気持ちが強くなった感じでしょうか?

岡田氏「そうですね。ただ、僕個人としては、実写ものよりもアニメのほうが好きで、思い入れも強かったりするので、いつかは関わってみたいなと思っています」

――それでは最後にファンの方へのメッセージをお願いします

岡田氏「2回、3回と観れば観るほど面白いところが次々と出てくる作品になっていますので、ぜひ何度も劇場に足を運んで、楽しんでいただけたらうれしいです。そしてもしよろしければ次のステップとして原作も読んでいただけると万々歳です(笑)。よろしくお願いします」

――ありがとうございました

『奴隷区 僕と23人の奴隷』は2014年6月28日より新宿バルト9ほかにて全国ロードショー(配給:ティ・ジョイ)。公開館などの詳細は公式サイトをチェックしてほしい。

(C)2013映画「奴隷区/僕と23人の奴隷」製作委員会