猫カフェが隆盛を極めている昨今だが、ひと味違った"猫の店"が東京の神保町に存在する。それは、昨年オープンした「猫本専門 神保町にゃんこ堂」。同店には猫本・猫グッズがズラリと並び、まさに猫好きの聖地といった雰囲気なのだ。今回は、にゃんこ堂を実際に訪ねてみた。

本名は姉川陸男

なんと、にゃんこ堂の猫店長を務めるのはリクオ。本名は姉川陸男と言うそうで、10歳のスコティッシュフォールドだ。「猫店長はとても内気でビビりな性格のため店頭にはほぼいないのですが……」と店員である姉川さんは語る。

「猫本専門コーナーをオープンした時、開店記念として猫的なノベルティを作りたく、リクオを猫店長に就任させ、リクオデザインのチロルチョコとしおりを製作しました」とリクオが猫店長になったきっかけを教えてくれた。ちなみに同店のユーザーからは、この猫的なノベルティが大変喜ばれたそうだ。

さて、そのリクオ店長の役割だが、「ネコおもちゃ、またたび入りおもちゃなどのチェック役です」と姉川さん。購入してきたサンプルを試してもらい、リクオ店長がシッポブンブンでOKを出した商品のみ、店頭に並ぶ権利(!)が得られるそうだ。

さらに、猫フリーク様への癒やし担当といった役割も。にゃんこ堂のFacebookで、まったりとした癒やしフォトを公開。「店長の写真を公開すると、本やグッズ紹介の閲覧数を軽く上回ります。あっぱれ!」と姉川さんはリクオの人気ぶりに少々驚いているようだ。

本屋の中に、別の本屋をオープン!

「実はこのにゃんこ堂は、既存の姉川書店の中に作った専門書コーナーなのです」と姉川さん。しかし、ひとつのコーナーと言っても、その充実ぶりはハンパではない。

個性のあるたくさんの猫本が取り扱われているのだ。姉川さんは、「猫本を集めて一気に並べてみますと、それはそれはユニークで独自性の高いものばかりで……。猫の特性である"媚びない"という感じが、猫本にも出ている気がします」と、書店にある猫本について分析する。「それぞれの本の自己主張がハッキリしているので、ズラっと並べても埋もれませんし、見てて飽きないんです」と、にゃんこ堂の面白さについて語ってくれた。

同店では、にゃんこ堂ならではのスペシャル感を出すべく、猫本・猫グッズを購入した客に、漫画家のくまくら珠美さんがデザインしたオリジナル書皮を付けるサービスも行っているとか。猫好きのテンションが上がりまくる、最高のテーマパークなのではないだろうか。

神保町にゃんこ堂で人気の猫本はこの3冊!

猫本のプロ・姉川さんには、同店オススメの人気の猫書籍についても聞いてみた。

まず紹介してくれたのは『猫又指南』(くまくら珠美/ネコ・パブリッシング)。これは、にゃんこ堂がオープンした時より人気の高い本だそうで、「ジワっとくる面白みに加え、ちょっとシュールな絵のタッチが妙に心地良く、コアなファンが多いのも納得です。出版関係の方が取材などで訪れ、思わず手に取り、思わず購入していく1冊なんです」とのことだった。

次は『猫だらけ』(南幅俊輔/洋泉社)。パンチの効いた猫本を探している人に「超オススメ!」なのだという。「表紙のチビワル猫を筆頭に、ソトネコ界のワル猫を1冊にぎゅぎゅっと凝縮! ソトネコ界について詳しく知りたい人は、これまたファンキーな『ソトネコJAPAN』もどうぞ!」

そして3冊目に選んでくれたのは『みさおとふくまる』(伊原美代子)。猫写真集の中でも定番の1冊だそうで、「猫とおばあちゃんの日常をただ淡々と撮った1冊なのに、読み終わる頃になぜか涙……。お互い信頼し合い寄りそう姿が、心の奥底にじんわり響きます」と注目ポイントを教えてくれた。猫好きではない人にも人気の猫写真集なのだそうだ。

また、オススメ番外編として教えてくれたのが『中村猫整体院』や『おかゆネコ』など。「にゃんこ堂で大変売れているのが、シュールでユニークな猫本たちです。これらは、表紙からしてユニークな感じですが、中身も裏切らずユニークで、人気のラインナップとなっています」と、猫本探しに迷った時に参考にしたい意見も聞かせてくれた。

ラストは、猫店長リクオより一言。「猫族・ネコフリークの皆様あっての神保町にゃんこ堂。どうぞこれからもまるっと、ゴロっと、ニャフっとよろしくお願いいたします!」。

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