テレビ東京は、開局50週年特別企画の締めくくりとして、作家・百田尚樹氏のデビュー小説『永遠の0』を俳優・向井理の主演でドラマ化し、2015年に3夜にわたって放送することを4日、発表した。

ドラマ『永遠の0』で主演を務める向井理

「臆病者」「卑怯者」と周囲から評されながらも、天才的な操縦技術を持った零戦パイロット・宮部久蔵の生涯を描いた小説『永遠の0』は累計530万部を超え、V6・岡田准一主演で昨年12月から公開された映画は観客動員数700万人、興行収入86億円を突破するなど空前のヒット。来年放送されるドラマでは、映画では登場しなかった人物やエピソードを描き、太平洋戦争の戦史に関しても同局のアーカイブ資料を用いて詳細に描くことで、映画との差別化を図り、より忠実に原作を再現する狙いがある。

東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)に開局したテレビ東京は、2013年10月から2015年3月末まで、「まっすぐ、ずっと。テレ東にしかできないことを。」を掲げ、50周年企画を展開している。その一環として、今年3月26日には、1995年にNHKで放送された高倉健主演のドラマを原案に、高橋克典主演で『刑事』を放送。今夏には同局のドラマに初めて挑む米倉涼子を主演に迎え、松本清張の長編小説『強き蟻』をドラマ化する。

一連の企画を締めくくる形で制作される今回のドラマは、同局のドラマ初出演となる向井理を主演に据え、監督はNHKドラマ『八日目の蝉』(2010年)や『モリのアサガオ』(テレビ東京系2010年)の佐々木章光氏、脚本はテレビ朝日系ドラマ『相棒』シリーズなどを手がけていることでも知られる櫻井武晴氏で、名作のドラマ化に挑む。編成局ドラマ制作部の岡部紳二氏は「3夜放送のスケールだからこそ伝えられる『真実』があります」と説明。「戦後70年、二度とあの戦争を繰り返さないために…。主人公『宮部久蔵』が命を懸けて残したメッセージを、一人でも多くの視聴者の方に伝えたいと思います」と作品に込めた思いを語った。

一方、原作者の百田氏は「3日間通しての放送と聞いて、心が震えました」とオファーを受けた当時の感動を伝え、「映画版は原作者である私自身が大いに満足した出来栄えでしたが、もとが600ページ近い長編だけに、原作の世界観が十全に再現されたものではありませんでした」と告白。「しかし、今回のテレビ東京の企画は、限りなく原作に近づいたものです。脚本も見せていただきましたが、主人公である宮部久蔵だけでなく、彼を取り巻く様々な男たちの姿が生き生きと描き出されていることに感動しました」と心を動かされ、「どんな風に映像化されるのか、本当に楽しみです」と期待を寄せている。