現在、軽乗用車の30%以上を占めるという「スーパーハイトワゴン」。ホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」がリードするこのセグメントに、三菱自動車がこのほど投入したのが新型「eKスペース」だ。クラストップの室内高と室内長を実現し、同乗者への思いやりをコンセプトに装備を充実させたという「eKスペース」に試乗してみた。

三菱自動車の新型「eKスペース カスタム T」(ホワイトパール)

サイズもルックスも「1クラス上の上質感」

今回試乗したのは、新型「eKスペース」のトップグレードであり、ターボエンジンを搭載する「カスタムT」(駆動方式は2WD、カラーはホワイトパール)だ。実車と対面した際、その存在感に本当に黄色ナンバーか確かめたくなるほどだった。普通車が隣に置いてあっても、どちらが軽自動車でどちらが普通車か、判断に迷ってしまうかもしれない。

外観については、「これはもしや『デリカD:5 "ミニ"』か!?」というのが第一印象。カスタムモデルのメッキグリルには、「デリカD:5」と同様、縦基調の意匠が取り入れられており、力強いイメージが重なる。また、「スーパーハイトワゴン」(軽自動車)より「ミニバン」(普通車)と呼ぶほうがしっくりくるスケール感のせいもあるだろう、かつて「パジェロ」(普通車)に対する「パジェロミニ」(軽自動車)をラインナップしていたように、新型「eKスペース」にも三菱自動車らしい「遊び心」を感じた。

インテリアも好印象だ。カスタムモデルのインテリアは黒で統一された内装色が精悍だし、タコメーターも備えたメーターパネルがスポーティ。タッチパネル式のオートエアコンを採用したインパネ周りもスタイリッシュ。いずれも軽自動車にありがちなイメージとは一線を画し、1クラス上の上質感につながっている。大人の女性にも似合うだろうし、男性ユーザーにとっても、「ちょっといいモノ」を所有する喜びを味わえる仕上がりになったのでは? と感じた。

すれ違い、合流、駐車…、緊張のシーンでもストレスフリー

今回の試乗では、都内の幹線道路からレインボーブリッジを渡り、お台場エリアへ向かうコースを設定。筆者の他に本誌編集者(30代男性、ペーパードライバー)も同乗した。ステアリングの位置を調整したり、運転席ハイトアジャスターでシート座面の高さを上げたりもできるので、背の低い筆者でもドライビングポジションがしっくり決まった。

インパネ周りはスタイリッシュな印象に

リヤサーキュレーターで後部座席まで風が届く

マルチアラウンドモニターで駐車をサポート

カスタムモデルはブラックが基調の内装に

Aピラーを細く工夫することで、運転視界が広がった

室内高は1,400mm。リヤシートは軽自動車最長の260mmロングスライドで、運転席から手の届く範囲で子供の世話もできる

そしていよいよ出発。走り出してすぐ、視界の良さにちょっとはしゃいでしまった。アイポイントが高く、見晴らしが良いというのがひとつ。それに、フロントからリヤにかけてのガラス面が広く、見通しが良いというのもある。Aピラーの角度や太さも視界を妨げない。リヤシートに同乗した男性編集者は、足を組んでゆうゆうと座りつつ、「後ろからの見通し・見晴らしが良い!」と話していた。

新型「eKスペース」での試乗は順調……、といきたいところだったが、序盤で予想外の通行止めもあり、狭い路地へ迂回して、いきなりすれ違いを行うことに! 最初は広い道路を走行して、車に慣れたかったのだが……。それでも、見晴らしの良さ、車両感覚がつかみやすい形状、広々としていても軽自動車規格というコンパクトさのおかげで、対向車とのすれ違いも難なくクリア! ほっとした。

その後、レインボーブリッジを渡っていると、「左へ合流せよ」との指示標識が。左車線の車両とはほぼ並走状態。前は空いているが、後ろには車間距離を空けずに数台が連なっていて、割り込みづらい。ここで活躍したのが、「カスタムT」のターボエンジン。アクセルを開けると、立ち上がりはマイルドに、しかしターボラグはなくすっと加速し、隣の車両をスムーズに追い越せた。無理なく合流できるという心の余裕がうれしい。

家族や女性ドライバーにも気の利いた装備が充実!

途中、商業施設の駐車場へ入庫する機会も。ここではマルチアラウンドモニター(カスタムモデルにメーカーオプション)が活躍し、その便利さを実感した。ルームミラー内のモニターに映し出される映像をもとに、真上から見下ろすような視点で駐車できる。カーナビのモニターに映し出す場合と比べて、視線の移動も少なくて楽だ。縦列駐車のときなども心強い味方になってくれそうだ。

新型「eKスペース」では、「家族に33の思いやり機能」をキャッチコピーとしているそう。その中でも今回、女性ドライバーとして「いいな」と思ったポイントを紹介すると、それは助手席のシートアンダートレイ。前後どちらからでも引出し可能なのだ。前から引き出せるのは一般的だが、後ろから引き出せるのは新しい!? トレイ位置が目視でき、車外から楽に引き出せるのも便利。いろいろ入れられて良さそうだ。

これに関しては、「子供の泥んこの靴なども収納できますよ」と三菱自動車の担当者から説明を受けたが、そのとき筆者の頭に浮かんだのはドライビングシューズの収納のことだった。筆者は普段運転する際、ヒールのある靴からドライビングシューズに履き替えて運転しているのだが、フロアに靴を置いておくのがスマートに見えず、気になっていたのだ。

こうした使い勝手から走りまで、家族や女性ドライバーに対する「思いやり機能」の恩恵に十分あずかった試乗であった。新型「eKスペース」の機能についてはスペシャルコンテンツでも紹介されており、展示車・試乗車検索も可能。ぜひ実際の車両を見て触れて、普通車にも負けないスケール感、そして「家族に33の思いやり機能」を体感してみてほしい。新型軽乗用車「eKスペース」は全国の系列販売会社で販売されており、価格は122万4,300~177万5,550円とのこと。