3月31日のフィナーレに向けて、とんねるずや岡村隆史のレギュラー化などで盛り上がりまくりの『笑っていいとも!』。とりわけ『テレフォンショッキング』は、萩本欽一、渡辺謙、所ジョージ、井上陽水、小沢健二などの大御所&レアな人選で、連日「明日は誰か?」と話題を集めている。そんな中で迎えた最後の祝日・3月20日のゲストは、安倍晋三首相。現役首相の生放送出演は、『いいとも』だけでなく、バラエティ番組初となる。

『笑っていいとも!』に生出演した安倍首相

"到着お知らせランプ"のVIP待遇

オープニングで内田嶺衣奈アナウンサーが「総理はまだ到着していません」と報告。さらに"安倍総理 到着お知らせランプ"なるものを用意し、「到着次第コーナーを中断してテレフォンショッキングに入る」という文字通りVIP待遇を見せる。そして12時29分、ついに安倍首相がアルタに現れた。まず花の紹介では、「食事をしたことがある」というEXILEに続いて、なぜか谷村新司、松村邦洋、春香クリスティーン、ニコニコ動画の花が映し出される。ある意味、「批判覚悟」の度胸があるタレントたちだ。

トークに入り、「国民的番組ですからぜひ出していただきたい」と話す安倍首相に対し、「バラエティを認めていただいた。与党・野党構わずバラエティをバカにしてたのかと……」とタモリは大喜び。続けて、「バラエティはホメてもらえない。俳優や落語はホメてもらえるのに」と嘆くタモリに、安倍首相は「無形文化財だと思います。私は『ボキャブラ天国』のファンで、暗い気持ちで入院していたとき笑わせてもらった」と意外なエピソードを明かした。

ジムでは木梨と裸のつき合い

この日のタモリは、いつも以上にハイテンションだった。いきなり安倍首相に「SPの人に言っておいてください。私の前に立って『ホントにお前タモリか』って目でジ~ッと見るんですよ」と笑わせたと思えば、「ジムで(木梨)憲武と会うんですよね」と話しかけ、「サウナで会うから裸だと分からない。あんまりジロジロ見るのも失礼だから」と裏話を引き出す。さらに安倍首相から「32年間でやめようと思ったことはないですか?」と逆質問を引き出すなど、終始生き生きとしていた。

そして、話はタモリ得意のお酒トークへ。安倍首相が「最近は飲めるようになりました」と話すとすかさず「ぜひ今度飲みましょうか?」と誘い、「ぜひゆっくり。長続きの秘けつを聞きたいですね」とOKを引き出した。9歳年上で先輩格のタモリが誘う形になったが、その堂々とした振る舞いはさすがだ。

イチゴを食べる超大物おっさん2人

クライマックスもノリノリのタモリが安倍首相にリクエスト。「明日の新聞で『安倍首相、タモリと会食』という記事を見たいので」と一緒にイチゴを食べるように求めた。これに安倍首相は、「私イチゴ好きですから。日本のイチゴは世界一です」と快諾。「超大物がツーショットでイチゴを食べる」というイチゴ農家が大喜びしそうなレア映像を提供した。そして、次回のゲストは木村拓哉。官房長官時代に『ビストロSMAP』へ出演したことがある安倍首相は電話を代わり、「おそばを食べて木村さんのチームに勝利を与えたんですけど。妻が大ファンで……関係ありませんけども」と笑わせた。あざといと言えばあざといが、好感度アップは間違いないだろう。

猿になって、さらに壊れるタモリ

ちなみに、X/100アンケートは、「政治家と握手したことがある人」。予想の6人に対して、結果は27人だったが、タモリが「大幅に残念でございました」と皮肉ったのは距離が縮まったことの証か。かくして、68歳のタモリと59歳の安倍首相がはしゃいだ約18分間が終わった。

次のコーナーで草彅剛と鈴木福を巻き込んでサルのモノマネで大暴れするなど、タモリの壊れっぷりは半端ない。というより、メジャーからアングラまで、この幅広い芸風が本来の姿だ。

週明けのキムタクも含め、ますますヒートアップするのは確実。バラエティの伝説をさらに塗り替えそうなラスト一週間は、録画予約してでも見る価値がある。

木村隆志

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴する重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。