棟方志功《華狩頌》1954年(昭和29)木版 130.0×158.0cm 日本民藝館蔵

神奈川県横浜市の横浜美術館は1日~5月25日、「開館25周年記念 魅惑のニッポン木版画」を開催している。

木版画の歴史を辿り木版表現の粋を鑑賞

同展は、同館が所蔵する幕末から現代までの約1,600点におよぶ木版画を中心に、現代作家による新作も加え約220件を展示し、各時代の木版表現の粋を紹介するというもの。展示構成は以下の通り。

幕末から明治にかけての様々な木版表現を紹介する「第一章:幕末・明治-生活を彩る木版画」では、江戸の伝統を引き継ぐ浮世絵版画、洋風表現を取り入れた新しい木版画が流行したこの時期の、歌川国芳、月岡芳年、小林清親らの作品を展示。千代紙やうちわ絵、引き札、のし袋といった暮らしを彩る印刷物も紹介する。

「第二章:大正から昭和-木版画の復活」では、明治後期、石版印刷の普及により一時は廃れた木版画の表現力に着目する作家たちが現れた時代を紹介。 自画・自刻・自摺による芸術表現を目指した「創作版画」、来日した外国人浮世絵師たちの活動、そして版元・渡邊庄三郎による「大正新版画」などを展示する。出品作家は竹久夢二、恩地孝四郎、へレン・ハイド、川瀬巴水、橋口五葉など。

(左)「月岡(大蘇)芳年《風俗三十二相 けむさう 享和年間 内室之風俗》」1888年(明治21) 多色木版 37.4×25.2cm 横浜美術館蔵(加藤栄一氏寄贈)、(中)「竹久夢二《千代紙 大椿》」大正から昭和初期 多色木版 38.6×27.4cm 京都国立近代美術館(川西英コレクション)蔵、(右)「川瀬巴水《「東京十二題」春のあたご山》」1921年(大正10) 多色木版 36.5×24.3cm 横浜美術館蔵

「第三章:1950年代以降-国際的な舞台へ」では、戦後、国際的な舞台へと活動の場を広げていった日本の木版画の世界を紹介。1951年に斎藤清がサンパウロ・ビエンナーレで日本人賞を受賞したのを皮きりに、棟方志功や吉田穂高らの独創的な版画が国際展で脚光を浴び、版画熱は急速な高まりをみせていた。出品作家は棟方志功、斎藤清、吉田穂高など。

「第四章:現代-新たな木版画の表現へ」では、2000年代以降のアーティストたちの作品を紹介。 コンテンポラリーアートの舞台でも木版画は健在で、今日的なテーマに向き合いながら、伝統的な木版技法を咀嚼して新しい表現を実践するアーティストたちによって、ニッポンの木版画の歴史は日々更新されているという。出品作家は吉田亜世美、風間サチコ、桐月沙樹、湯浅克俊の4名。

場所は神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1 横浜美術館。会期は1日~5月25日。開館時間は10時~18時(入館は閉館の30分前まで)。木曜休。観覧料は一般1,100円、大学・高校生700円、中学生400円、小学生以下無料。毎週土曜日は高校生以下無料(要生徒手帳、学生証)、3月29日は観覧無料。なお、会期中に一部展示替えあり。

関連イベントも多数開催される。詳細は「開館25周年記念 魅惑のニッポン木版画」で確認できる。

竹久夢二の作品をイメージしたデザートも登場

「ラベンダーのブランマンジェ」 

また、同展とのコラボレーションイベントとして、神奈川県横浜市のクイーンズイースト内、「キハチイタリアン」横浜クイーンズイーストにて、同展の展示作品である竹久夢二「千代紙大椿」をイメージしたデザート「ラベンダーのブランマンジェ」が販売される。

同デザートは、シェフが同作品からインスピレーションを受けて作ったもの。真っ白いラベンダー風味のブランマンジェに黄色のオレンジパッションソースをあわせ、ロゼスパークリングワインのゼリーで椿の柔らかい赤色を、刻んだラベンダーをのせたラングドシャとミントで椿の葉、ブルーキュラソーのソースで枝を表現した。価格は600円

場所は神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目3番2号 クイーンズイースト2F。販売期間は1日~5月25日。営業時間はランチ11時30分~16時(14時30分L.O.)、ティータイム14時30分~17時30分(17時L.O.)、ディナー18時~23時(21時30分L.O.)、日曜祝日のディナー18時~22時(20時30分L.O.)。翌日が休日の場合は平日の営業時間にて営業。休日はクイーンズイーストに準ずる。