JR北海道は21日、「軌道変位検査データ書き換え等に係る調査結果及び再発防止対策について」と題する文書を同社ウェブサイトに公開した。検査データの書換えなどについて、社内調査でこれまでに判明した事実などをまとめている。

JR北海道が軌道変位検査データ書換えなどに関する調査結果と再発防止対策を発表(写真はイメージ)

それによると、大沼保線管理室では2013年9月19日に函館本線大沼駅構内で起きた貨物列車脱線事故の発生当日から翌日にかけて、脱線箇所に近い2番線の検査データが書き換えられたとのこと。軌間変位は39mmから25mm、通り変位は49mmから12mmへ書き換えられていた。その後、過去2年以上補修していなかったことを隠すため、実際には行っていなかった補修実績を書き足した。10月に本社から各種検査表の提出指示があった際も、検査を行っていないのに数値を記入するなどしたという。

函館保線管理室でも、国土交通省による特別保安監査の前日(9月25日)に、検査データの書換えや未計測箇所への虚偽のデータ記入などを行っていたとのこと。八雲保線管理室では、分岐軌道変位のデータ入力の際、変位量が7mm以上の箇所について一律7mmとして記入していたことが判明。データ入力者の間では、「7を超えると補修が必要なため、7で入力すること」という引継ぎが行われていたという。

12月から今月にかけて保線社員全795名を対象に実施した聞き取り調査によると、全体の16%の社員が、「データの書換え等を行ったことがある」と回答。「1~2mm程度の超過修正であり、安全上問題になることはないと思っていた」との意見も複数あったという。現場の状況については、業務量は多いが要員・予算・技術レベルは不足しており、検査・補修はぎりぎり間に合っている程度との意見が最も多かった。

JR北海道は同文書の中で、「具体的な再発防止策は現在検討中」としながらも、「業務遂行体制の強化」「検査業務の適正化・装置化・システム化」「軌道関係設備の強化」「グループ会社と一体となった業務運営の適正化」「軌道関係検査内容の見直し」の5点を今後推進していくとしている。