リブセンス代表取締役社長の村上太一氏

リブセンスは初上場(マザーズ)日である12月7日、"あたりまえ"を研究する機関「リブセンス あたりまえ研究所」を設立した。あたりまえとは何なのか、どのようなことを研究する機関なのか、同社代表取締役社長の村上太一氏に話を聞いた。

「あたりまえを、発明しよう。」のもとに

「リブセンス あたりまえ研究所」

――「あたりまえ研究所」の"あたりまえ"というのは何ですか?

村上氏「当社のコーポレートビジョンである『あたりまえを、発明しよう。』からきています」

同社では現在、アルバイト求人サイト「ジョブセンス」をはじめ、転職求人サイト「ジョブセンスリンク」、派遣社員求人サイト「ジョブセンス派遣」 、賃貸情報サイト「door 賃貸」、転職希望者向けに企業の評判や噂などのクチコミ情報を集めたサイト「転職会議」を運営している。

同社のコーポレートビジョン「あたりまえを、発明しよう。」には、"新しいものの見方・行動の仕方で、世の中に常識(あたりまえ)として定着するサービスを開発する"という意志が表現されているという。

――研究所ではどのようなことをするんですか?

村上氏「『あたりまえを発明しよう。』というビジョンをより深めていく研究をしていきたいと思っています。たとえば第一回として『今の日本人の幸せは?』というテーマで、今の日本の幸せのあたりまえを把握すべく調査を行いました」

「リブセンス あたりまえ研究所」第一回調査の一部(利用するソーシャルメディアによる幸福実感の違い)

同社が10日に発表した第一回の調査では、お金にとらわれることと不幸度の関係、利用するソーシャルメディアによる幸福実感の違い、人生において重要だと感じることの年齢による移り変わり、都道府県別の幸福実感の違いがまとめられた。

さらに調査の結果から、現在あるいは五年後に幸福だと感じている人と不幸だと感じている人についての特徴がそれぞれ考察されている。

「当社の今やってる事業に関連することだけではなくて、仕事や生活、恋愛など幸せに関わるであろうこと全てを調査しました」と村上氏。調査は専門の機関に依頼し、インターネットによるアンケートで実施している。

調査結果をサービスのアイデアに

――調査結果はどのように活用できるでしょうか?

村上氏「サービスの根っこになってくるのは、世の中をより幸せにしたいとか、不便を解消したいとかいうことだと思います。その不便とはなんだろう、幸せとは何だろうといったところで事業のアイデアが出てくるだろうと。

あたりまえ研究所を通じて『こういったところが世の中で不便だなあ、問題だなあ』とか『こうすればもっと幸せになるかも』ということが分かる。それが事業の種にもなると考えています。世の中で感じている"負"についてや、幸せと感じている人と不幸と感じている人の差とかっていうのがチャンスになってくると思うんですよね。そういったものを今後も調べていきたいです」

リブセンスのコーポレートロゴの前に立つ村上太一氏

――どんな研究所にしていきたいですか?

村上氏「世の中で求められているもの、より世の中をよくしていくものを可視化することで、当社がそれを解決していくのはもちろんですが、事業をこれから起こす人が仕事でアイデアに煮詰まった時に、こうしたほうがいいなっていうのがわかるような一つの参考になればと思っています。

ビジネスの基本って世の中の不便や問題、不幸と感じていることを解決したり、逆に幸せを感じているのをもっと幸せにしてあげたりとか、いくつかの切り口があると思うんですけど、こういったデータをもとに、世の中に求められているのはこうだとか、もっとこの幸せを大きくするためにはこういうサービスあってもいいんじゃないかとか、いろいろな人と議論するきっかけにしたいです」

――調査の中で気になったテーマはありますか?

村上氏「幸せになる、不幸をなくすという部分で、世の中に影響を与えているものの中で、仕事がかなりの比重を占めるものになるような気がします。同じ能力を持った人でも働き方によって出せるパフォーマンスが変わって、出せるパフォーマンスによってもらえるお金も変わってくると思うんですよ。そういったところをより適切にマッチングできる必要があるなあと実感しています。

あとは人間関係とコミュニケーション、恋愛というところを考えても、まだまだ改善の余地はあるなあと思います。第一回で公開した以外のデータも含めてですが、私は恋愛の部分は改善が求められていると感じています。求められてはいるんだけれども解決されてなさそうな、今はないものっていうのがありそう」

――もしかしたら今後、恋愛に関するサービスを展開する可能性もありますか?

村上氏「ぜんぜんあるとは思いますね。世の中の晩婚化しかり生涯未婚率しかり、社会問題としてテーマになると思うので」

疑問を徹底的に広げていく視点が、新たな"あたりまえ"をつくる

紙コップにもコーポレートロゴが

同社では設立8年目を迎えた今年2月8日から、この新たなコーポレートビジョン「あたりまえを、発明しよう。」を掲げ、コーポレートロゴも新たにしたという。

――リブセンスのコーポレートロゴのほうには、どんな意味があるんですか?

村上氏「『あたりまえを発明しよう。』というビジョンを実現するために何が大事かって考えた時にふたつの要素があって、その要素である「はてな」と「しずく」が隠れていています。「はてな」はいまあたりまえだと思っているものに疑問を持つこと、「しずく」は"雨垂れ石を穿つ"という故事成語にもあるようにアイデアを徹底的に広げていく視点っていうのが新たなあたりまえをつくるのに大事になるだろうという思いを込めています。

今起きていることに疑問を持って、『こういうアイデアがある』っていうのがあったらそれを徹底的に広げていく、そして事業をつくっていくというのが大事だと思っています」

――ありがとうございました。

「リブセンス あたりまえ研究所」第一回の調査の結果は、リブセンスサイト内で閲覧できる。