年の瀬の大阪をにぎわす恒例イベント、「第8回大阪モーターショー」が開催されている。前回の19ブランドを大幅に超える31ブランドの国産車・輸入車・二輪車がインテックス大阪に集結。西日本最大の自動車イベントとして成長してきた大阪モーターショーは、過去最大規模での開催となり、寒波も吹き飛ばす熱気が会場を包んだ。

大阪モーターショーの会場に展示されたホンダ「ヴェゼル」

「ヴェゼル」「レヴォーグ」が来場者を引きつける

今回の出展車の中でも注目を集めたモデルのひとつが、ホンダ「ヴェゼル」だ。東京モーターショーにも姿を現してはいたが、大阪モーターショー開幕日と同じ12月20日に発売されたこともあり、会場でも1、2を争うほどの注目を集めていた。つねに大勢の人で囲まれ、近寄るのも大変だったほどだ。「ヴェゼル」は他のコンセプトカーなどとは違い、車内に乗り込むこともできるように展示されていたため、運転席に座りたい人が順番待ちの行列を作るという、他のモデルでは見られない"珍事"も起きていた。

これまでにない新ジャンルをうたう「ヴェゼル」は、SUVとしてとらえるのが最もわかりやすいものの、実車を見ると、たしかにそれだけで終わらない要素を持ち合わせていることがうかがえる。新型「フィット」で打ち出したハイテクな雰囲気の華やかさをうまく取り入れており、スポーツカーとは違った意味で気持ちを高揚させるモデルだと感じた。

「ヴェゼル」の周囲はつねに人が集まっていた

スバル「レヴォーグ」(写真左)と「クロススポーツデザインコンセプト」(同右)。東京モーターショーで披露されたモデルが大阪にも出展。熱心な「スバリスト」たちが集まった

ニューモデルにおいて、ホンダに負けないほど自動車ファンを引きつけていたのが、「レヴォーグ」を発表したばかりのスバルだ。

「レヴォーグ」はスバルならではのスポーツ性に加え、環境性能や安全性能においても、これまでにない水準を達成しているという。来年春頃の発売だが、年明け早々に予約受付が開始されるため、実車を見てから予約したいという来場者も多かったようだ。「スバルの新しいヤツはどこ?」と、スタッフに聞く来場者の姿も何人か見かけた。

東京モーターショーで見られなかったブランドが出展しているのも、大阪モーターショーの見所のひとつ。フィアット、アルファロメオ、アバルトといったイタリアンスポーツカーや、米国のハーレーダビッドソン、キャデラック、シボレーなどがニューモデルを中心に展示していた。中でもハーレーダビッドソンは、二輪車として唯一、単独のブースを出展。ヤマハやカワサキの姿が見えない中、バイクファンの注目を独占していた感がある。

アルファロメオ「ジュリエッタ」

ハーレーダビッドソンのブース

トヨタ「FCV コンセプト」

トヨタ「FV2」

BMW「i8」

ホンダ「NSXコンセプト」「S660コンセプト」

映画から抜け出してきたようなコンセプトカーを見られるのも、モーターショーの醍醐味だろう。必見の1台としては、2015年の市販化が決定している燃料電池車のトヨタ「FCV コンセプト」が挙げられる。まさに未来を垣間見ることができるモデルだ。トヨタは他にも、「FV2」「i-ROAD」といったコンセプトカーを展示しており、ブース全体での注目度ではホンダと人気を二分するにぎわいを見せていた。

BMW「i8」「i3」も、ぜひ見てほしいモデルといえる。とくに「i8」の「未来っぷり」には驚かざるをえない。このモデルがほぼこのままで、間もなく市販化されるとはまったく信じられないほどだ。日産「ブレードグライダー」も高い注目を集めていたが、コンセプトカーで最も人気が高かったのはやはり、ホンダ「NSX コンセプト」「S660 コンセプト」だった。男性だけでなく、女性も熱い視線を送っていたのが印象的だった。

自衛隊ブース、ディーラー特別仕様車の展示コーナーも

大阪モーターショーにおいて、"名物"となっているのが、東京モーターショーにも名古屋モーターショーにもない自衛隊のブースだ。82式指揮通信車や偵察用オートバイをはじめ、自衛隊の制服を着られるコスプレコーナーがあったり、ゆるキャラ「まもるくん」が登場したりと、異様なまでの盛り上がりで家族連れを楽しませていた。

自衛隊大阪地方協力本部・陸上自衛隊第36普通科連隊ブース

自衛隊大阪地方協力本部のゆるキャラ「まもるくん」

ディーラー特別仕様車発表会の様子

大阪のファンは気迫が違う。展示車に浴びせる視線がとにかく熱かった

会場内にはディーラーが人気モデルの特別仕様車を展示するコーナーもあった。モーターショーに来て興奮気味の来場者に、お得な特別仕様車を見てもらって販売につなげようということか。いかにも大阪らしい販売戦略といえる。

開催初日の20日は寒波の到来で雪も舞った大阪だったが、会場はそんな寒さなど関係なしの熱気に包まれていた。印象的だったのは大阪の来場者の、「気迫」と呼びたくなるほどの熱心さ。どこかお祭りの雰囲気がある東京・名古屋とは違い、じっくりと真剣に展示車を眺める人が多かった。本格的な一眼レフカメラで展示車を撮影する人も多く、大阪の自動車ファンの熱い思いをひしひしと感じた。

「第8回大阪モーターショー」は、インテックス大阪(地下鉄中央線コスモスクエア駅から徒歩9分)を会場に、12月23日まで開催中。入場料は大人1,500円、こども(小学生)700円 (いずれも当日券)となっている。