今回で18回目を数える名古屋の恒例イベント「第18回名古屋モーターショー」が12日、開幕した。東京モーターショーの後に開催されるこのショーは、これまで「東京の縮小版」としての色合いが強かったが、今回は違う。出展した自動車ブランド数はじつに47。東京モーターショーを超えているのだ。

フルモデルチェンジしたシボレーの第7世代「コルベット」

東京への出展を見送った輸入車ブランドも、名古屋モーターショーでは大挙して出展。プレミアムカーブランドも数多く出展し、さながら「スーパーカーショー」の様相を呈していた。東京には1社も出展しなかった米国ビッグ3もそろい踏みしたが、中でも注目は、「シボレー コルベット」だろう。日本では12月9日に正式発表されたばかりで、一般へのお披露目はこの名古屋モーターショーがほぼ初めてと言っても過言ではない。

ロングノーズ、ショートデッキのプロポーションは維持しながらも、現代的な解釈で生まれ変わったコルベットは適度に筋肉質であり、適度にインテリジェンスも感じさせる。「アメリカンマッスル」といってもアクの強さは影を潜めており、日本人にも受け入れやすいエクステリアになっていると感じた。

フェラーリ「F12 ベルリネッタ」。エコカーの時代になってもフェラーリ人気は不変のようで、つねに人だかりができていた

ランボルギーニ「アヴェンタドール」。このエキセントリックさこそ真のスーパーカーといえる

「ガヤルド LP570-4 スクアドラ コルセ」。惜しまれつつ生産を終了したガヤルド。このタイミングで実車を見られるのはうれしい

スポーツカーといえばフェラーリ。歴代モデルで最もパワフルな「F12 ベルリネッタ」が鎮座していた。その姿をカメラに収めようとにじり寄るファンの姿は、かつてのスーパーカーブームを思い起こさせる。平日なので子供こそいないが、意外なほど若い人が多かった印象だ。写真で見ると攻撃的な印象の同車だが、現物を目前にすると、むしろクラシカルな優美さを備えたモデルであることがわかる。

フェラーリと双璧をなすエクストリームカーブランド、ランボルギーニは主力モデル2台を展示。ラインアップ上は「アヴェンタドール」のほうが格上だが、今回注目すべきはやはり「ガヤルド」だろう。なにしろ、ほんの2週間ほど前、10年に渡る歴史に終止符を打ち、生産終了が発表されたばかりなのだ。しかも今回展示されているのは「LP570-4 スクアドラ コルセ」。レース用モデルをほとんど仕様変更せず、ロードゴーイングカーとして市販化したという過激なモデルだ。

マクラーレン「MP4-12C」(写真左)と「MP4-12C スパイダー」(同右)

アストンマーチン「ヴァンキッシュ ヴォランテ」(写真左)と「V12 ヴァンテージ S」(同右)

今回の名古屋モーターショーで、ひときわ注目を集めているのがマクラーレン。現在のところ、同ブランドは名古屋にショールームを構えていないが、今回の名古屋モーターショーの反響を見て出店を検討するという。展示されていたのは2台の12C。P1の姿がなかったのは残念だが、それでも観客の視線は熱かった。これならショールーム「マクラーレン名古屋」オープンは確実か!?

イギリスの名門アストンマーティンは、なんと3台を展示。ヴァンキッシュのオープンモデルである「ヴォランテ」も見る機会の少ないスーパーカーだが、それ以上の存在感を放つのが、「V12 ヴァンテージ S」だ。最高出力573PSのV型12気筒エンジンにより、0-60mph加速はわずか3.7秒。ブリティッシュスポーツの真髄を見せてくれるモデルだ。

ロータス「エヴォーラ」。ロータスで最も注目度が高かったのは、あの「エスプリ」の後継という位置づけの「エヴォーラ」だった

イギリス車といえば、忘れてはいけないのがロータス。「エリーゼ」よりひと回り大きなミッドシップ2ドアクーペ「エヴォーラ」が注目を集めていた。「これは何だ!?」と興味を持ち、初めてこのモデルを知った人も多かったようで、認知度を上げるという意味でも、今回の名古屋モーターショーは絶好の場となっているようだ。

新デザイン戦略にもとづいたコンセプトカー「デジール」を発表したルノー。東京ではなぜかいまひとつ注目されなかったが、名古屋では熱い視線を浴びていた。「LOVE」をテーマにデザインされたこのモデルがそのまま市販化されることはないかもしれないが、そのテイストは今後のルノー車に取り入れられるはず。

東京では少なかった輸入バイクも、名古屋ではドゥカティ、トライアンフ、アプリリア、モトグッチなどが一堂にそろった。中でも大きな注目を集めていたのが、アメリカの新興オートバイメーカー、ヴィクトリーだ。1998年設立のメーカーとあって、日本での知名度はまだ低いが、ハーレーとは違ったテイストのアメリカンスタイルは個性の塊。足を止めてじっと見つめる年配ライダーが多かった。

輸入バイクも多数展示。中でも注目度が高かったのはアメリカのヴィクトリー

「くまモンMINI」。ウェブサイトの出展車両にも記載はなく、サプライズで登場。言うまでもなく大人気

初日は平日にもかかわらず大盛況となり、関係者から「予想以上の人気」との声が相次いだ

最後に紹介したいのは、サプライズとして登場した「くまモンMINI」だ。今年夏に登場するや、衝撃的なまでの完成度の高さでたちまち大人気となった同車を、ひと目見てみたいと思っている人も多いはず。世界で1台しかないだけに、希少性においては並み居るスーパーカーも蹴散らすといえるかもしれない。

それにしても、今回の名古屋モーターショーの人気は尋常ではない。初日は平日にもかかわらず、会場周辺が大渋滞するほどの人出となり、関係者がうれしい悲鳴を上げるほど。景気回復を感じさせるとともに、エコカー全盛となってもスポーツカーやスーパーカーに関心を持ち続ける人が多いことを証明した。

「第18回名古屋モーターショー」は、ポートメッセなごや(名古屋市港区。最寄り駅はあおなみ線金城ふ頭駅)を会場に12月15日まで開催中。入場料は大人1,500円、中・高校生700円(いずれも当日券)、小学生以下は無料となっている。