桜庭ななみが主演を務める映画『人狼ゲーム』が公開をスタートした。桜庭が演じるのは、高校2年生の愛梨。何者かによって拉致された愛梨は、同じ高校の男女計10人と共に、ある施設に隔離されてしまう。そこで告げられたのは、「あなたたちは村人です。紛れ込んだ2人の『人狼』を探し、夜9時までに殺して下さい」「殺せなかった場合、全員死亡します」。戸惑いながらも10人は生死を賭けた壮絶なゲームに巻き込まれていく。主演を務めた桜庭に現場エピソードや撮影手法、作品の魅力を語ってもらった。

桜庭ななみ
1992年10月17日生まれ。鹿児島県出身。O型。身長162.5cm。2008年に映画『天国のバス』で銀幕デビュー。2009年にはNHKドラマ『ふたつのスピカ』で主演を務め、劇場アニメ『サマーウォーズ』では初めて声優に挑戦した。その後、2010年の『最後の忠臣蔵』で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、映画新人賞を総なめ。現在、フジテレビ系の連続ドラマ『ミス・パイロット』(毎週火曜21:00~)に出演中。
撮影:MOTO

――オファーを受けた当時の印象をお聞かせください。

今までにやったことがない役だと思いました。芯が強い女の子が多かったんですけど、今回の役は友だちに頼ったりメソメソしている役だったので、自分の中ではすごく新しいなと思いました。

――最近では、ドラマ『リミット』(テレビ東京系)にも出演されましたね。サバイバル系の話としては共通しています。

台本読んでいる時はちょっと似ていると思いました。でも、現場に入るとそれが全然違っていて。現場の雰囲気も違いますし、演じ方も違いました。それから監督がドキュメンタリーっぽく撮る方で、リハーサルもなく本番だけのシーンが多かったです。共演者は芝居が好きな方ばかりで、本気でぶつかり合っている空気にすごく緊張しました。セリフをかむのもリアルだから生かすという感じで。みんなセリフにないことをどんどん言ってくるので、準備することが逆にありませんでした。こんな現場は初めてです。

――戸惑いもなく、すぐに撮影に入っていけましたか?

最初は、もうはじまるの!?っていう感じはあったんですけど、だんだんやっていくうちに一発本番でやったほうが、その場で受けた感情とかもリアルに表現しやすいなと思いました。結果的に、とてもやりやすかったです。熊坂監督とはまた、ご一緒したいです。

――全く和むシーンがありませんが、現場の雰囲気はどのような感じだったのでしょう。

映画の中みたいな感じでした。ずっと(笑)。みんなそういう役作りなのか、ご飯の時もあまり話はしませんでした。私は結構、休憩は休憩というタイプなので、ひょっとしたら休憩がいちばん緊張したかもしれません(笑)。このみ役の(竹富)聖花は私と似たタイプなので、話しやすかったんですけど、学校内で撮影していて、控室が教室でみんな同じ部屋だったので、あまりしゃべれませんでした。役作りの仕方として、すごく勉強になりました。

――撮影後の交流はないんですか?

5日間くらいで撮影して、出番が終わった方から順に帰っていくんですよ。だから、皆さんとあまりお話する機会がなくて。あの時のことを、あらためてみんなで話してみたいなとは思います。

――桜庭さんが竹富さんから強烈なビンタをされるシーンがとても印象に残っています。

私が先にビンタをして、聖花がやり返すシーンですね。本当に痛かったです(笑)。音もあまり足してないんですよ。された瞬間は頭がグルグル回って(笑)。これもさっきの話のとおり、テストもなく一発撮影。でも、カットがかかるとさすがに笑えてきました(笑)。体を一番張った映画だと思います。

――涙を流すシーンもたくさんありましたね。

あんなに泣いた撮影も初めてかもしれません。男の子たちがあんなに泣いてるのも初めて見て、ビックリしました。

――共演には、若手でありながら役者としてはかなりの場数を踏んでいる方が多かったですね。

めちゃくちゃ緊張しました。「負けちゃいけない!」と思っていたので、お互いにとって刺激になったと思います。……続きを読む。