えっ、たこ焼き!? 実はこの商品こそが香川発祥の「かっしゃ焼き」だ!

外はふわふわ。中はトロトロ。お箸で割って口へ運ぶとスパイシーなカレー味と、歯ごたえある親鶏(かしわ)の食感が口いっぱいに広がる。B級グルメ直球的な商品性で、今や発祥の地・香川で知らぬ人はいないご当地グルメが「かっしゃ焼き」だ!

中には濃厚なカレーかしわが!

面白いのはこのかっしゃ焼き、見た目がまるっきりたこ焼きなのだ。上に乗っているソースやカツオ粉の雰囲気までたこ焼きそのもの! しかし、中身は完全に違う。タコの代わりに濃厚なカレー味のかしわ(親鶏)が入っている。

中身のかしわはカレーの下味にたっぷり3日間もつけこみ、独特の風合いを出している。かっしゃ焼きはデビューするなり破竹の勢いでブームとなり、2010年の讃岐B級グルメコンテストにおいては見事グランプリを獲得した。

岡山倉敷店。今回の取材は二俣賢一店主にお願いした

岡山倉敷店の店主であるグリーン・プラネットの二俣賢一氏に取材をすると、「オーナーの鈴木氏が子供の頃、駅前のたこやき店でおばあさんが手作りしていたのが、このかっしゃ焼きだったと聞いています」。そう。意外な返事が返ってきた。

オーナーの鈴木氏は現在40代。彼の子供時代ということはもしかして30年近く前? するとこのかっしゃ焼きは新規開発のB級グルメではなく、70年代には既に香川県に存在していたことになるのだろうか?

「どうやらそのようですよ。オーナーが昔むかしに大好きだったかっしゃ焼きは、当時、駅前のたこやき店のおばあちゃんが時々作っては店に出していたメニューだったそうです。そのおばあちゃんは、オーナーへ作り方まで丁寧に教えてくれたようですが、やがて店はなくなり、彼の手元には懐かしいおばあちゃんのレシピだけが残ったと聞いています」。

おばあちゃん直伝の味を中国・四国で展開

そもそもこのかっしゃ焼き、昔はタコが手に入りにくい土地だったために、タコの代わりに鶏肉を入れて焼いていた。鶏肉のことを「かしわ」と呼ぶため、当初は「かしわ焼き」と言われていたものが、だんだん音が変化してきて、ついには「かっしゃ焼き」になったと言われている。

トロリとした中身をのぞくと、タコの代わりにカレーで煮込まれたカシワが

大人になった鈴木氏は、少年時代になじんだおばあちゃんのかっしゃ焼きの味わいと魅力を、全国へ広げたいと一念発起。「元祖かっしゃ焼き」と命名し、中国・四国エリアで店舗を5店舗にまで増やし、仲間たちとともに様々なイベントへの出展を始めたのだ。

本店は11個入りで400円。倉敷店は10個入りで400円

「骨付き鶏」をアレンジした麺ものも

「元祖かっしゃ焼」という名称で、香川県内外に店舗を有するグリーンプラネット。本店と直営の岡山倉敷店では、「かっしゃ焼そば」「ニラかっしゃ焼うどん」などの新メニューも開発され、好評を得ている。

「かっしゃ焼そば」はエリアの名物グルメである「骨付き鶏」をアレンジした商品を出せないか試行錯誤する中で思いついたメニュー。「骨付き鶏」の味付けで焼そばに入れる肉を作ってみたら、これが常連さんに大人気だったというのだ。

焼そばに入れておいしいならうどんでも同様なはず! そう考えて「ニラかっしゃ焼きうどん」に一気に展開したという。ちなみにプライスはどちらも400円。リーズナブルなのに食べ応えあり。ボリュームたっぷりの一品だ。

かっしゃ焼そば

ニラかっしゃ焼きうどん

なるべく作り置きはせずオーダーが入ってから焼き始めるため、注文の事前電話予約が必要と二俣店主。出来たてのアツアツを食べてほしいというコンセプトは、エリアを問わず各店共通のスタンダードだ。

たこ焼きの外見に柔らかい鶏肉とカレー味のコンビなんて、日本全国の子供たちの人気商品になること間違いなしじゃないか!? 機会があれば是非賞味してほしいB級グルメである。

●information
元祖かっしゃ焼 岡山倉敷店
岡山県倉敷市中島1335

元祖かっしゃ焼 本店
高松市新田町甲2483-6