トヨタはこのほど、高級ハイブリッド専用セダン「SAI」をマイナーチェンジして発売した。これに合わせて開催されたのは、CMキャラクターを務める女優、真木よう子さんも登場しての、華やかな記者発表会。今回はこの発表会で行われた、開発責任者による車両詳細プレゼンテーションを中心にレポートする。

フルモデルチェンジ並みの変貌を見せた新型「SAI」

先進的なランプで、「ひと目見て『SAI』とわかる意匠」に

新型「SAI」の記者発表会は、マイナーチェンジであるにも関わらず、真木よう子さんをゲストに迎え、まるでフルモデルチェンジであるかのようなスケールで開催された。その理由は、車両詳細プレゼンテーションの冒頭での、開発責任者である製品企画本部主査・加藤亨氏の、「新型『SAI』は、ストイックなまでに健全でシンプルだった現行型から、大きく舵を切って変身させました」という言葉に集約されている。

その新しい方向性を示すキーワードが「大人がモテるための武器」。真面目で保守的な印象だった「SAI」が180度方向転換し、「紳士が放つ色気」をテーマに掲げたのだから、サプライズのあるビッグマイナーチェンジと言えよう。イメージカラーに新色の赤(レッドマイカメタリック)がフィーチャーされたことも、大胆な変革を物語っている。

マイナーチェンジとしては珍しく、華やかな記者発表会が行われた。真木よう子さんも登場

マイナーチェンジで一新された、フロントエンドとリアエンドのデザイン

夜でもひと目見ただけで「SAI」とわかるヘッドランプとテールランプ

プレゼンテーションにて、最も多く時間が割かれたのは、エクステリアについての解説だった。フロント、リヤともに意匠が一新され、「フルモデルチェンジ並みの変わり映えを実現した」と加藤氏。その変身ぶりは、新旧比べるまでもなく、会場に展示された実車をひと目見ただけでわかるほどであった。マイナーチェンジ前のコンサバティブなデザインから一転、エモーショナルなイメージとなっている。それでもギラついた雰囲気にならないのは、先進的なランプ類から発散される知性の功だろう。

フロントには、ほぼ車両全幅をカバーする世界最大の超ワイドヘッドランプを採用。これにより、エンブレムから両サイドへ、白色LEDのシャープな光が切れ目なく続く、象徴的なフロントビューとなった。リヤも、ヘッドランプのイメージに合わせて車両全幅まで光が配され、「ひと目見て『SAI』とわかる意匠」(加藤氏)に。これらランプ類が、先進性とともに、夜の似合う「SAI」の大人なキャラクターを打ち出していると感じた。

女性デザイナーの提案から生まれた新色「茜」が上質感を醸し出すインテリア

これらのデザインテーマはインテリアにも適用され、ディスプレイからスロープ状に延びるセンタークラスターなどの造形が先進性を、落ち着きと温かみが感じられる室内色や、無垢のアルミから削り出したオーディオノブなどが、大人の高級感を表現していた。

ハイブリッド制御の変更などにより、22.4km/リットル(JC08モード)と走行燃費も改善された

その他、プレゼンテーションでは今回のマイナーチェンジに関して、高遮音ドアガラスの採用などで高級セダントップレベルの静粛性を獲得したこと、ボディ剛性の強化やパフォーマンスダンパーの採用により乗り心地が向上したことなど、高級セダンとしての基本性能の大幅な向上がアピールされた。

さらなる低燃費の実現や、エコプラスチックの使用量を増やして「プリウス」の7倍になったことなど、環境性能の進化についても紹介。高級セダンであり、環境車でもある「SAI」の立ち位置があらためて確認された。

新型「SAI」は全国のトヨタ店、トヨペット店、トヨタカローラ店、ネッツ店にて販売され、価格は321万円~421万円となっている。なお、同車の店頭発表会が9月14~16日に予定されているとのこと。