安定した就職先を探す人が増える一方で、近年「限定正社員」の割合を増やす企業が増えてきています。正社員、非正規雇用との違いは何か、労働者にメリットはあるのかなど、気になる疑問をまとめてみましたので参考にしてみてください。

■職種も仕事場も「限定」の社員

限定正社員は、正社員と非正規雇用のちょうど中間にあたるような雇用形態です。増え続ける非正規雇用者の割合を減らすために労働契約法が改定され、同じ職場で5年以上働くパートや契約社員は希望することで無期雇用に切り替わるようになりました。業務内容や仕事場などは非正規雇用時とかわらないため、今までどおりの生活や働き方が可能です。その一方で条件面などの理由から本人の同意により、正社員から限定正社員へ切り替わるケースもあります。

■安定性と賃金が半々

限定正社員の最大のメリットは、無期雇用で安定した生活が得られること。さらに正社員と違い転勤や職種の変更がないため、住む場所や仕事を変えることなく今までどおりの生活を続けることができます。ただし勤務先が限定されるため、その工場や支社、支店が閉鎖することになれば仕事を失い、最悪の場合は解雇という状態もありえます。また、正社員に比べ生活面での融通が利く反面、賃金は安めに設定されていることが多く、なかには非正規雇用時とほとんどかわらないというデメリットがみられることも。子育てと仕事を両立する人などは、賃金が安くても都合に合わせた時間に働きたいというケースが多いことからメリットが活かされやすいといえるでしょう。しかし正社員を希望していてもなかなか見つからない人などは、思ったほどの賃金や待遇が得られずにデメリットを感じやすいようです。

■販売業、製造業に多い

すでに限定正社員の制度を取り入れている企業は多く、各地に工場をかまえる製造業、店舗をいくつも展開する販売業などが一般的です。有名なところでは株式会社ユニクロが2007年に地域限定正社員制度を取り入れています。大企業ほど制度を取り入れており、ニュース番組などでもたびたび報道されることがあるので、自分の勤め先が制度を取り入れているかどうかを確認してみると良いでしょう。

限定正社員の制度が、今後の日本の雇用形態においてプラスとなるのかマイナスとなるのかはまだわからず、たくさんの議論が行われています。私たちひとりひとりが関心を持って、制度と向き合っていく必要があるといえるでしょう。