「とほほ秋田」オフ会でグランプリ(洒落だそうです)に選ばれたペア写真

「とほほ秋田」。なんともゆるい名前のFacebook投稿写真グループが、秋田の地元民に大人気である。へんてこ?妙ちきりん? いや、やはり“とほほ”としか言いようのない秋田県内の珍百景写真を投稿・披露しあうグループで、立ち上げから8カ月で会員は1,000名を突破。その勢いは止まらない。

8カ月で1,500点の愛すべきとほほ写真

「とほほ秋田」がいかなるものか、論より写真。まずは冒頭に掲載したグループオフ会で「とほほ」グランプリに輝いた写真を紹介したい。「上薄井Kamiusui」「薄久内Usukunai」という2つの道路標識の組み写真。「髪薄い」「薄くない!」……頭髪問題をめぐるオヤジ同士のバトル会話が、見事に成立していてとほほ。偶然とはいえ、よくこんなに都合よくマッチングする標識があるものだと感心してしまう。

次はマタギで有名な秋田らしい珍写真。畑に張り巡らされたロープに取り付けられた「関係者以外入るな(クマも)」の注意書き。(クマも)の蛇足が何ともおちゃめである。県内のどこかは分からないが、熊が出没する土地なのだろうか。

お腹をすかせた熊が畑を荒らすこともあるのでしょう

次なるは「産地直売の~そん」の看板。「の~そん」て農村のことなのだろうか。ストレートでいさぎよいと言うか、身も蓋もないと言うべきか、脱力感十分である。

農村にある野菜の産地直売所「の~そん」。正式名称なのだろうか?

「郷土愛の視点から腰がぐぐっと軽くくだけるイメージのスポットを探して、さぁどうだ!!という写真を投稿する。それだけなんですが、妙に人気が出てしまいまして……」

こう語るのは、「とほほ秋田」を主宰する秋田市在住のクリエーター、今野仁さん。えっ、こんなとほほな写真が郷土愛なんですか?と疑問を抱いてしまった。

「もともと私どもは『まるまる秋田』という秋田の観光情報サイトを運営しておりまして、そのコンテンツのひとつとして『とほほ秋田』も企画されたんです。観光情報サイトと言えば、有名な観光スポットやご当地グルメなどを紹介するのが普通ですよね。『まるまる秋田』ももちろんそれは定番としてやってはいますが、何かもう少しユニークなコンテンツはできないものかと考えたんです」。

「そんな折、天然記念物の黒松を見に行ったところ跡地に記念碑が立っているだけだったり、腰砕けしてしまうけれど何か愛すべきというか、人に話をしたくなったりするスポットがけっこうたくさんあることに気づいたんです。そんなスポットをクローズアップするのも面白いかなと思いまして、珍百景写真を投稿するFacebookグループを立ち上げたんです」。

するとどうだろう、続々と秋田県内の珍百景写真が投稿されてきた。「とほほ秋田」の立ち上げは2012年9月のことだが、現在までに会員数は1,000人を突破し、寄せられた写真は1,500点近くにも及んでいる。今年6月現在では、会員は1,200人を超えている。

洒落っ気たっぷりからシモネタも

この手の珍百景写真といえば、雑誌『宝島』の読者投稿コーナー「VOW」が思い出されるが、「とほほ秋田」はその秋田ローカル版、Facebook版的な存在。「VOW」同様に、「とほほ秋田」の大受けの投稿写真も“意味分からん”“シモネタ”が数多い。

果たしてここは観光地スポット? 「日本一低い山 標高0米」の大潟(おおがた)富士。秋田県大潟村にあり、周囲からの比高が富士山の1,000分の1の3.776メートル、なおかつ標高が0メートルになるように設計された築山だという(周囲が干拓地なので可能)。大潟村は国土地理院の地形図への掲載を求めたが、築山であることを理由に掲載を見送られたといういわくつきのとほほ山である。

日本一とほほの山かもしれない大潟富士

「こういうとほほな風景も、秋田の魅力のひとつと思ってもらえたらうれしいのですが」と言う今野さんご推奨の写真を最後にいくつか紹介しておこう。

「うんち・おならはトイレでお願いします」(おならもトイレでなのね)、「チンコ ナミ」(シモネタ炸裂!!)、そして意味不明な「無事の帰りを待ってる像」……。

多分パチンコのパが抜けている? ナミというのがなんともはや!!

ここではうかつにおならもできません

不気味すぎて言葉が出ません……

他にも数多い投稿とほほ写真を見たい人は、「とほほ秋田」のFacebookグループに参加するか、秋田の観光スポットとグルメ情報の案内サイト「まるまる秋田」にアクセスして存分に楽しんでいただきたい。